国内のスマートフォン(スマホ)市場が拡大を続ける中で、携帯電話各社は端末のラインアップを増やすだけでなく、料金プランの工夫やサービス面での充実、通信速度の高速化に余念がない。
業界最大手のNTTドコモが、次世代高速通信規格「LTE」のカバーエリアを拡大する一方、端末に向かって話しかけると必要な情報を表示する「音声アシスタント」サービスを開始するなど、新しい競争の時代に突入した。
iPhone人気に対し、LTEスマホで販売台数急増のドコモ
電気通信事業者協会が2012年4月6日に発表した、2011年度の国内携帯電話契約純増数(新規契約数から解約数を差し引いた数)は、ソフトバンクモバイル(SBM)が354万300件で2年連続の首位となった。2011年10月に発売された米アップルの「アイフォーン(iPhone)4S」が、好調を支えたとみられる。
2位のドコモは、純増数は211万9700件だったものの、成長著しいスマホ市場においては、当初の年間販売目標数850万台を超える見込みで、これは、国内携帯電話会社の中で最も多い。累計販売数に至っては、2010年の252万台を加え、1100万台を数えるまでになっている。KDDIの2011年の目標台数は555万台、SBMは数字を公表していないが、「スマホ白書2012」の試算では660万台となっており、ドコモは純増数でSBMの後塵を拝したものの、今後のスマホ市場での躍進が期待される。このドコモの伸長は、「iモード」サービスにスマホが対応して従来のメールアドレスを引き継げるようになったことで、スマホへの買い換えが進むことで、「購入者のすそ野が広がってきた」(ドコモ販売部)。「デジタル機器ファン」に向けたモデルだけでなく、女性や学生、子どもまで幅広くカバーする多様な機種をそろえたことが原因のようだ。
またブランドとしてのiPhoneの強さは間違いないが、端末に搭載される基本ソフト(OS)別で見ても、多くの機種で採用されている米グーグルの「アンドロイド」に分がある。調査会社MM総研によると、2011年12月末時点ではアンドロイドが58.1%と過半数を超え、国内市場でトップに立っており、iPhone独り勝ちというわけにはいかなそうだ。