日本の農業、実は強い TPPは成長するチャンスだ 

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日本の農業はピンチに追い込まれると強い

「ヨーロッパは加工品のブランディングが非常にうまいですね。日本はブランド戦略
を強めるべきです」(古田秘馬さん)
「ヨーロッパは加工品のブランディングが非常にうまいですね。日本はブランド戦略 を強めるべきです」(古田秘馬さん)

――では最後に、日本の農業を強くするにはどうしたらいいと思いますか?

古田「出口戦略の強化」ですね。誰に売るのか? どの対象に売るのか?ということです。マーケットやニーズをきちんととらえることが重要です。
浅川 ひとつは「外人バイヤー受け入れ」です。いろんな国のバイヤーに来てもらって市場拡大したほうがいい。日本の農産物を見てもらって「発見」してもらうのが一番です。二つ目は「黒字化政策」。いまは赤字の農産物に補填しますという考えですが、黒字の農家にお金出す。そうなると、赤字の人は努力するようになります。あとは酒税法、農水省設置法、農協法、農地法の4つがなくなれば、いいことばかりが起きます。
青山 付加価値で勝負していきましょう。私が取材した農家のなかにも、少量多品目の農産物を生産し、直売所で1500万円を売っている農家、家庭で作らなくなった手料理が自慢のレストランを経営し、繁盛している農家がいます。農家が持っている腕、加工の技術が受け入れられているのは事実です。にもかかわらず若手が育たないのは、安い賃金で働いているから。価値を自分で認めていないんでしょうね。ブランド化して、価値を高めていけば必ず農業は儲かる。そうすれば必然的に後継者は生まれると思います。
新浪 繰り返しになりますが「お客さま志向」です。それにはいろんなアプローチが必要です。たとえば「コラボレーション」。産業界と組みITを活用したりすると、いい商品ができるのは過去の事例からわかります。
   また、TPPはいい機会だと思います。サクランボの佐藤錦がアメリカンチェリーの輸入解禁によって3~4倍売上が上がったことからもわかるように、日本の農業はピンチに追い込まれると強いんですよ。チャレンジして試行錯誤すれば、必ず日本の農業は勝ち抜けると思います。

   J-CASTでは、農業の将来を考えるトーク番組を3回にわたり、「J-CAST THE FRIDAY」スペシャルとして放送した。最終回は2012年3月24日、東京都港区の「品川フロントビル」で公開座談会が行われ、今回はその中身を記事化した。


プロフィル
青山浩子(あおやま・ひろこ)さん…農業ジャーナリスト 京都外国語大学英米語学科卒業。日本交通公社勤務を経て、韓国系商社であるハンファジャパンや船井総合研究所にて勤務。現在は農業関係ジャーナリストとして活躍中。1年の半分を農村での取材にあて、奮闘する農家の生の姿を紹介しているとともに、農業関連の月刊誌、新聞等に広く連載を持ち、茨城大学農学部非常勤講師も務めている。


浅川芳裕(あさかわ・よしひろ)さん…農業誌「Agrizm」発行人、月刊誌「農業経営者」副編集長
ドバイのソニー・ガルフ社等に勤務した後、農業技術通信社に入社。「農業経営者」副編集長、農業誌「Agrizm」発行人、ジャガイモ専門誌「ポテカル」編集長を兼務。農業総合専門サイト「農業ビジネス」編集長、みんなの農業商品サイト「Eooo!(エオー)」の運営責任者も兼ねる。著書に「日本は世界5位の農業大国~大嘘だらけの食料自給率~」(講談社)がある。


新浪剛史(にいなみ・たけし)さん…株式会社ローソン代表取締役社長 CEO
慶応義塾大学経済学部卒業後、ハーバード大学経営大学院修了、三菱商事株式会社へ入社。株式会社ソデックスコーポレーション、現・株式会社レオックジャパン代表取締役を経て、2002年5月株式会社ローソン代表取締役社長執行役員に就任。2005年3月より同社代表取締役社長兼CEOとなる。2010年より経済同友会副代表幹事を務める。


古田秘馬(ふるた・ひま)さん…「丸の内朝大学」仕掛け人
株式会社umari 代表取締役、プロジェクト・デザイナー。山梨県・八ヶ岳南麓「日本一の朝プロジェクト」、東京・丸の内「丸の内朝大学」などの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手がける。2009年、農業実験レストラン「六本木農園」を開店。2011年、生産者とお客様をつなぐ現代版三河屋「つまめる食材屋七里ヶ浜商店」を開業。


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