故郷に帰りたくても… 「仮設後」の生活再建に不安【岩手・花巻】

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真剣な表情で住宅問題などを話し合う被災者たち=花巻市内の渡り温泉で
真剣な表情で住宅問題などを話し合う被災者たち=花巻市内の渡り温泉で

(ゆいっこ花巻;増子義久)

   「やっぱり、同郷のよしみ。何でも腹を割って話せるから…」―。東日本大震災から2年目に入り、花巻市内に避難している沿岸被災者の間で同郷同士のお茶っこ会が盛んになってきた。「仮設後」の生活再建や住宅問題などが差し迫った課題となる中、お互いに情報を共有する必要に迫られるようになったためで、28日は大槌町出身の20人が市内の温泉ホテルに集まった。


   現在、花巻市内の民間借り上げ住宅や雇用促進住宅などの「みなし仮設」に住んでいる沿岸被災者は県内では釜石、陸前高田、大船渡、宮古の各市と大槌、山田両町の251世帯(496人)のほか、宮城県から28世帯(62人)、福島県から13世帯(28人)に上っている。


   「ゆいっこ花巻」の仲介でお茶っこ会を作っているのは大槌町、山田町、釜石市の出身者と気仙同郷会と宮城県人会の5団体。花巻市が実施している、温泉施設の入浴料無料の「湯のまちホット交流サ-ビス」事業を利用。同郷同士でくつろぎながら、お互いの安否を確認したり、将来の生活設計などを話し合う場として定着しつつある。


   「大槌お茶っこ会」(新里利久会長)はこの日で3回目の集まり。ほとんどの人が故郷への帰郷を望んでいるが、問題はその先行き。この日も「高台移転と言っても大槌には住宅建設に適した平地は少ない」「浸水地域の土地の買い上げ価格もまだ未定。年金生活者にとっては公営住宅の家賃を払うのも難しい」「雇用の場がないため、若い労働量は外に逃げてしまう。新手の限界集落が形成されるだけではないのか」…など不安の声が相次いだ。


   「ゆいっこ花巻」としては今後、内陸避難者への情報提供にも力を入れ、「仮設後」を視野に入れた支援も目指すことにしている。



ゆいっこ
ゆいっこネットワークは民間有志による復興支援団体です。被災地の方を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資提供やボランティア団体のコーディネート、内陸避難者の方のフォロー、被災地でのボランティア活動、復興会議の支援など、行政を補完する役割を担っております。
ゆいっこは、「花巻」「盛岡」「北上」「横浜」「大槌」の各拠点が独立した団体として運営しておりますが、各拠点の連携はネットワークとして活用しております。
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