日経は社説で「愚かしい」
「残念ながら、客が生のまま食べてしまうことまでは、法律で縛れません。個人の自由だということですが、私どもとしては、『しっかり加熱して食べて下さい』と消費者への注意喚起を行っていきます。今はそれしか言いようがありません」
規制の意味が薄れないかについては、厚労省の基準審査課では、こう言う。
「店がレバ刺しで出しているものを、法規制で止めてもらうことができます。自粛を要請した昨年7月以降、4件も食中毒が出ており、今のところ規制以外に防止策はないと考えています」
しかし、レバ刺し規制そのものについても、未だにメディアの中でさえ疑問がくすぶっている。
日経は、2012年4月4日付社説で「『レバ刺し禁止令』の愚かしさ」と批判的な論陣を張った。「食べ物から完全にリスクを取り除くのは難しい」として、むしろ子どもやお年寄りに生食させないようにし、違反業者は個々に処分するなど禁止の前にやるべきことがあると指摘した。信濃毎日新聞も5日付社説で、「納得を得られないまま禁止すれば、店が『裏のメニュー』として出すことにもなりかねない」と疑問を投げかけている。
日本畜産副産物協会の事務局長は、取材に対し、「事件があったからと言って、あまりに大仰な規制をするのはいかがなものか」と困惑していることを明かした。屠畜後にO157が腸から胆管を通って肝臓に入った可能性があるとして、大学の専門家などに胆管を縛る方法などを調べてもらっているが、まだ実験は成功していないという。
ネット上でも、ブログなどで議論が交わされている。生食用は最近になって多く出回るようになったもので、それだけを大目に見ろというのは難しいという意見や、リスクがあるのはむしろ自然なことであり、安心できる店を選んでもらう方がよいという指摘まで、様々なようだ。