地元のマツダに対する期待は相変わらず大きい
輸出依存度が高く、円高に弱い体質も引き続き懸念材料だ。マツダは今回調達した資金でメキシコなど新興国での生産設備を新増設するほか、円高でも利益が出るような生産技術の改革も進めている。ただし、足元で一時期より円安に振れている為替相場が、いつまた円高方向へ進むかわからず、体質強化は時間との競争になる。
今回の劣後ローンの融資団には、地元の広島銀行や山口銀行、もみじ銀行が名を連ねた。筆頭株主だった米フォードが2010年にマツダ株を手放した際、引受先となってマツダを支援した住友商事などが今回の増資計画から距離を置いたのとは対照的で、地元のマツダに対する期待の大きさがうかがえる。国内生産の水準や雇用を維持しつつ、円高に耐える体質を構築し、地元にお返しができるのか。このチャンスを生かせなければ、技術力に定評があるだけに、世界的な企業再編のターゲットとなる可能性も出てくる。