日本企業は「ローカル銘柄になっている」
加えて、日立はNYSEの上場取りやめの理由を、「当社ADRの取引高が少ないことから、上場を継続する経済的合理性が低下した」と説明する。
これについて、前出の小田切氏は「日本企業が世界的に地盤沈下して、ローカル銘柄になってきた表れといえます」と指摘する。
株価が低迷し、売買されない銘柄を上場しておいても仕方がないし、日立自身の収益力は低下しているとなれば、「(上場廃止の判断は)自然な流れ」という。
ソニーやトヨタ自動車など、NYSEに上場している日本企業は現在18社ある。また、これまでも上場を取りやめた企業もあって、パイオニアは2007年1月に「株式事務の合理化」を理由に、またTDKも「取扱高が少なく、上場を続ける経済的合理性が薄くなった」ことを理由に09年4月に上場を廃止した。
小田切氏は「時価総額は(株取引の)ひとつの指標であり、グローバル企業はそれを競う時代になっています。売買が低調になって時価総額も小さくなり、勢い上場している意味も薄れてきてしまう。その点で日立が上場しているメリットは小さくなっていたのでしょう」と手厳しい。