「ブリタニカ」がついに消滅、平凡社は…? 「紙の百科事典」に未来はあるか

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平凡社「続けられる限りは続ける」

   日本で百科事典が盛んに出版されたのは1950年代後半から70年代初めにかけてで、当時は多くの家庭の本棚に百科事典がずらりと並んだ。今ではほとんど見かけない「百科事典の訪問販売」も盛んに行われた。

   しかし現在、書籍の形態で百科事典を刊行し続けているのは平凡社のみだ。同社は1914年刊行の小事典「や、此は便利だ」に始まり、1931年に「大百科事典」、1988年には現行の「世界大百科事典」を出版し、2007年にも「改訂新版」(全34巻、28万3500円)を上梓している。

   平凡社取締役の斎藤文雄さんは同社の「紙の百科事典」の今後について、

「合併による地名変更や物故者など小規模な修正を加えながら、今後とも増刷・販売を続けられる限りは続けていく」

と話す。そもそも事典編纂には大きな予算がかかっており、再生産によってそれを回収する必要もあるという。「ブリタニカ」書籍版の終了には「残念」と述べ、

「ドイツやフランスでは、細々とだが紙の百科事典の刊行が続いている。そういったところに国の文化や民度というものも表れると思うし、日本でもできれば維持していきたい」

と語った。

   台頭するウィキペディアなどについては、「一概に否定はしないし、長いスパンで見れば双方向型の百科事典には意義がある」と評価しつつも、「現時点では責任性がないのが問題。平凡社としては、信頼性のためにも『責任編集』というやり方は外せない」としている。

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