海外メーカーからの調達を余儀なくされる
実際、トヨタ自動車でさえ、欧州からのディーゼルエンジン調達を検討しているほどだ。スズキもインド市場向けにフィアットから小型ディーゼルエンジンを調達する。欧州、新興国市場で戦うために、日本車メーカーにとってディーゼル車の商品設定は不可欠だが、自社開発できないために海外メーカーからの調達を余儀なくされる。効率的だが、技術の蓄積面で、ますます日本のディーゼルエンジン開発は廃れてしまうことにならないか。
欧州メーカーは産学連携が進んでいて、とりわけオーストリアの産学連携によるクラスターが有名だ。自動車メーカーが同国内にあるわけではないが、高度なエンジン開発が産学連携で進められ、欧州主要メーカーにエンジン供給を行っている。こうした産学の連携を政府がバックアップし、厳しくなった排ガス規制をクリアするディーゼルエンジンを開発し、商品化してきた。自社開発がおぼつかなくなった日本車メーカーとの差は大きい。
さらには韓国をはじめ中国、インドの新興国も国を挙げて、ディーゼルエンジンの開発に取り組んでおり、日本は後れを取っている。
このままでは自動車も液晶テレビや半導体の二の舞になる。そんな危機意識がフォーラム開催に表れている。今でも産業界の技術開発と学問の世界は別、といった風潮は強い。今後の産学連携が実際の技術開発を生み、商品化実現に結びつくのかどうか。先端技術の開発は支援しても、実用範囲の技術開発の支援に後ろ向きだった国がどうバックアップするのか、総論の枠組みは決まっても実務進行のハードルは高そうだ。