政府要人やグローバル企業の役員が利用する「ビジネスジェット」専用のターミナルが成田空港に完成し、2012年3月30日、報道陣にお披露目された。首都圏にビジネス機専用ターミナルが登場するのは初めて。従来は、ビジネス機で到着した際も一般旅客機の乗客と同じルートで手続きしなければならなかったが、新ターミナルのオープンで時間が大幅に短縮される。国土交通省も、成長戦略の一環としてビジネス機の乗り入れ促進策を掲げており、海外からの投資を呼び込みたい考えだ。新ターミナルの利用が始まるのは3月31日から。
ビジネス機専用ターミナルは小牧に次いで国内2例目
専用ターミナル「ビジネス・アビエーション・ターミナル」は、第2ターミナルの東側約100メートルにある建物の一部を使用。元々は日本航空(JAL)がオペレーションセンターとして使用していたが、事業縮小で一部フロアから撤退したため、成田空港の運営会社が約1億5000万円を投じて改装した。国内の空港では、中部空港と神戸空港がターミナル内にビジネス機専用施設を設けているが、専用ターミナルを設けるのは県営名古屋(小牧)空港に次いで2例目。
11年は震災の影響で飛来が半減
新ターミナルの床面積は約560平方メートルで、専用のCIQ(税関、出入国審査、検疫)施設も備えており、ほとんど待たずに出入国手続きができるのが特徴。他の飛行機の乗客と顔を合わせることがないため、プライバシーも守られる。
現時点では18機が同時に駐機できるが、12年度末までに、さらに最大12機分のスペースが増える。さらに、連続で駐機できる期間も14日から30日に延長された。ターミナルからビジネス機専用の駐機スペースには、約10分かけて車で移動するが、空港の混み具合によっては、ターミナルのすぐ前にある旅客機との共用スペースに駐機することもできる。
ここ10年ほどは、成田空港には、月に100回程度ビジネス機が飛来していたが、11年は東日本大震災や羽田空港の本格国際化の影響で約50回に激減。ただ、滑走路の整備にともなって、現時点では年間23万5000回の成田空港の発着枠が14年度中には30万回にまで拡大する。蒲生昌弘常務執行役員は、
「新ターミナルで、日本のビジネスジェットの需要が高まることを期待している」
と話していた。