日欧米、「レアアース」で中国を提訴 解決には時間かかる?

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日本企業は中国に工場

   これに対し、中国は当然ながら強く反発。商務省報道官は「環境保護を目的とした中国の資源管理政策は正当でWTOルールに合致する」として規制を変える考えがないことを強調。「WTOの紛争解決ルールに従い、適切に処理する」と、徹底抗戦を宣言している。

   WTOルールでは、まず当事者問で協議し、60日間で解決しなければ一審に当たる紛争処理小委員会(パネル)を設置する。さらに最終審の上級委員会までもつれ込む可能性があり、レアメタルのケースでも判断確定までに約1年半かかったように、短時間での解決は難しいと見られる。

   中国が国際的な摩擦をいとわずに強硬な姿勢を取る背景には、レアアースを外交カードとして使おうという狙いがあるようだ。昨秋、尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件の際には、日本をけん制する一環として輸出規制を使ったと理解されている。また、レアアース自体の輸出を制限する一方で、中国国内で合金に加工すれば数量制限を課さないとし、外資の中国進出・現地生産を促し、「ハイテクの技術移転を図っている」(経済産業省筋)。

   経産省と民間企業は、例えば、ハイブリッド車などのモーターに不可欠で、中国が世界の生産量をほぼ独占するジスプロシウムの使用量を今後1~2年で3割超削減するほか、リサイクル、代替品開発などの取り組みを強化する考えだ。

   実際、すでに中国での生産を始めている昭和電工に続き、信越化学工業も来年1月の稼働予定で福建省に工場を建設することを決めており、レアアース合金で国内シェア計約70%を占める2社がそろって中国現地生産を始める事態になっている。「高度な技術を日本国内に残したいという思いと、レアアース確保のためという間での苦渋の決断」(業界関係者)を迫られている。

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