電気料金の削減はPPSでも厳しいのか
一方、PPSは東京電力や関西電力などの一般電気事業者(電力会社)以外で、新たに電力を小売りしたり買い取ったりして電力を供給する事業者をいう。資源エネルギー庁によると、ダイヤモンドパワーやエネサーブ、JX日鉱日石エネルギーなど、PPSは2012年3月現在で52社の登録があり、26社が電力を供給している。
とはいえ、販売電力量に占めるPPSのシェアは、まだ3.5%程度に過ぎない。
あるPPSは、「契約件数は毎月順調に伸びていますし、4月に向けて問い合わせも増えています」と話す。また東電の電気料金の値上げ発表以降、「問い合わせ件数だけで2、3倍は増えた」というPPSもある。
ただ、「紹介」されるPPS側も、「現状の利用者で電力供給はかなりいっぱい」で、手放しで「歓迎」というわけではなさそう。前出のPPSは、「供給量にもよりますし、あと何社と契約できるかは即答できません。採算性などを見ながら契約していくことになります」と話す。
静岡県は2012年度、東電管内の4総合庁舎で使う電力を、PPSのF‐Powerから調達することを、3月26日に決めた。11年度に、東電よりも4か所で約400万円(入札価格ベース)が削減できたことや、「電力の需給バランスがひっ迫していたので実施した」と話している。
PPSの利用は初めてではないが、県管財課は「(東電の)値上げは予測できたし、4つの施設をまとめたほうがPPS側が入札しやすいと考えた」と、入札してもらうのもひと苦労のようす。
さらには、「契約価格が上昇して、12年度の削減見込みは70万円程度になった」と大幅ダウン。PPSを利用しても、電力コストの状況は厳しいようだ。