冬場の電力事情が特に厳しい
この背景にあるとみられるのが、北朝鮮の電力事情だ。特に冬場は湖が凍るなどして水力発電所が使えなくなるため、さらに電力供給は厳しくなる。
例えば、アジアプレスの石丸次郎氏が2月23日の会見で明らかにしたところによると、金正日総書記の死去が発表された11年12月19日、ある平壌市民は石丸氏に対して、電話で
「電気が来ていないから(死去を報じる)テレビが見られなかった」
と打ち明けたという。
また、ロイター通信は2月1日、平壌駐在の外交官の話として、ここ数年で最も厳しい電力不足に見舞われていることを伝えている。この外交官は、
「供給される電気は質が悪いし停電になるので、大使館の発電機は、ほとんどいつも稼働している」
などと話したという。
優先的に電気が供給される平壌市でもこの有様だが、短波の送信機の大半は北朝鮮北西部の平安北道に設置され、さらに電力事情は厳しい可能性もある。電波の送信機は大量の熱を発し、かなりの電気を使うことで知られており、電力供給が間に合わなくなったものとみられる。
ただし、春先に向けてじょじょに電力事情は好転しつつある模様で、3月下旬時点では、放送が正常化に向かっているほか、強い妨害電波も確認されている。
また、仮に電波が止まったとしても、番組の一部は公式ウェブサイトで聞くことができる。