電力自由化へ規制見直すべき
しかし、650万kWといわれる自家発電が含まれていないのはおかしい。しかも、海南火力発電所2号機45万キロワットが2012年夏には運転再開として計画に含まれ、ほかも含めて合計60万キロワットの発電能力が上積みされているはずだ。
電力のピークで危ないのは、夏の1、2週間の昼間の数時間。その時間帯の需要をシフトさせ、供給もアップするということもやれば対応可能だ。このためにピークロード超過価格(これは需要減効果で需要対策になるし、自家発電アップの供給対策にもなる)、揚水発電活用などで対応するということを考えるべきではないか。
どうして関電は、何の工夫もせず、電力不足と煽(あお)るのか。こういうあたりが原発再稼働ありきがみえみえだ。
2月20日、高浜原発3号機が定期検査入り、関電の原発が運転を停止した。橋下徹大阪市長も原発から距離を置くため株主提案をしっかりやるとの考え方を示している。
ところが、政府は、まともな安全対策や電力供給を増やす電力自由化をしていない。そもそも電力供給が不足しているのは、ミニ電力会社をはじめ、電力供給の新規参入に高いハードルを設けたままだからだ。
例えば、コンバインドガスタービンの増設は、環境アセスに3年、許認可に3年、工事に半年など計7年も要するといわれる。原発再稼働の前に、こういう規制を見直すべきである。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。