東西で電力会社が話題になっている。
東電は電力料金値上げだ。2012年4月から値上げするといっていたが、その不手際で世間から批判を浴びている。契約を見れば明らかだが、すべての人が4月からの新契約になっているわけではない。
契約期間が終了しなければ、値上げした新契約は結べないのは当然だが、東電は一方的に通告するかのような交渉をしてきたようだ。経済学の教科書で出てくるように、一方が独占になるとこうした優越的な地位乱用はしばしば行われるものだが、それを絵に描いたような話だ。
東電破綻を避けた結果、「国民は踏んだり蹴ったり」
東電は、資本注入1兆円と賠償資金8500億円も政府に要請することを決定している。これまでも1兆5800億円の資金投入が行われてきた。東電が経営上、困難になっているのは間違いない。しかし、本来であれば東電は破綻していて、それに応じたリストラがあれば、電力料金値上げも納得がいく人が多いだろう。ところが、東電は破綻していないので、リストラもそれほど行われていない。一体どこでボタンの掛け違いがあったのか。
2011年8月、東電を破綻させると電力の安定供給ができなくなるという話(これはウソ!破綻すると損がでる金融機関や政策失敗を恐れた官僚からでてきた話)がでて、破綻させないように東電救済法(正式には原子力損害賠償支援機構法)を、官僚主導によって民主と自民が裏談合で作り、ほとんど国会審議なしで通した。
破たん処理していれば、電力安定供給を確保した上で、国民負担は5兆円以上少なくなり、東電のリストラもでき、発送電分離も可能になっただろう。そうすれば、発電では東電の独占はなくなり、東電の殿様商売意識もなくなるだろう。こうした絶好のチャンスを逃して、国民は踏んだり蹴ったりである。
関電は、この夏に2010年夏の猛暑がやってくれば、原発ゼロの場合に電力供給が25%不足するとして煽りたてている。本当だろうか。
2010年度の関電の最大電力需要は10年8月19日15時に記録した3095万kWであった。2011年夏の発電能力をみると、他社受電628.6万kW、水力819.6万kW、火力1690.7万kW合計で3138.9万kWとなっているが、他社受電ができないということで25%不足というわけだ。