関電VS橋下市長 原発再稼働か、それとも電気料金値上げか?

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   関西電力は「節電」で2012年の冬をなんとか乗り切った。管内の原子力発電所がすべて停止したものの、発電所のトラブルがほぼなかったことや他の電力会社からの電力融通などで供給力を高めたことが功を奏した。

   福井県の大飯原発3、4号機が再稼働するまでの「辛抱」と耐えた関電だが、原発再稼働への反発は強く、なかでも筆頭株主であり、橋下徹市長率いる大阪市が大きく立ちはだかる。

関電の供給力は東電より「不安」

   関西電力は、2011年12月から実施してきた「昨冬比10%以上の節電」の要請を、大規模な停電など電力不足に陥ることなく終了した、と2012年3月23日に発表した。

   この冬は寒さが厳しかったものの、節電などで需要が抑えられたため、需要に対する供給余力(予備率)が10%以下となったのは5日間で、最大電力需要の実績(電力使用率)は2月2日の93%にとどまった。

   関電の八木誠社長は「すべてのお客様の節電協力のおかげ」と感謝した。

   とはいえ、関電の電力不足が解消したわけではない。八木社長は、自らが会長を務める電気事業連合会の記者会見で、福井県おおい町の関電大飯原発3、4号機を含めた定期検査を終えた原発の再稼動について、「(再稼働の)めどが立たないと、今夏の(電力)需給バランスは大変厳しい状況になり、国民生活や経済、産業に多大な影響を与える」との懸念を表明した。

   そのうえで関電の場合、2011年夏に稼働していた4基が停止したまま(稼働がゼロ)の場合、「供給力は昨年より550万キロワット少ない2398万キロワットとなり、昨夏の最大電力を下回る日が7~9月で41日間発生する」と説明している。

   むしろ状況は、東京電力よりも深刻かもしれない。東電のすべての原発が停止した3月26日、枝野幸男経産相は今夏の電力見通しについて、「2010年並みの猛暑が来れば、東電の供給力は13.4%足りなくなる」としたが、経産省によると関電の供給力は東電を上回る19%が不足する状態にある。

   今夏の需給見通しについて、関電は「現在、精査中です」という。

火力発電のコストアップ、いずれ電気料金に?

   原発に代わる火力発電は、運用コストの上昇が重く圧しかかっている。それは東電を引き合いに出すまでもない。

   電気料金の値上げについて、関電は「現状では(値上げは)考えていない」と話しているが、このままの状況が続けば、いずれ電気料金にハネ返るのは明らかだ。

   一方、大阪市の橋下市長は「脱原発」の考えを崩していない。大阪市は関電株の約9%を握る筆頭株主で、神戸市が約3%、京都市は約0.5%を保有する。

   3月19日に開かれた大阪府市統合本部エネルギー戦略会議後、報道陣の取材に橋下市長は「選挙で選ばれた市長の背後には有権者がいる。単純な(3市合計で)13%の株主として扱ってはいけない」と、関電をけん制。6月の関電の株主総会での提案に向け、個人株主などに賛同を広げる考えを示すなど精力的だ。

   その翌20日にはエネルギー戦略会議の委員らが大飯原発3、4号機を視察。「安全を確保できていない」と、再稼働に必要な条件をまとめる意向を明らかにした。

   3月23日には、橋下市長が「こういう問題こそ最後は国民全体で方向性を決めるべき」などと発言。鼻息は荒い。

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