辞任することになった大阪府教委の生野照子教育委員長(68)が、教育関連条例成立に「政治が暴走する」と懸念を示したと報じられた。ネット上では、むしろ教組などの暴走を抑えられるとの声も出ており、論議になっている。
「そのまま可決されれば辞職する」。教育行政に知事が口出しできる条項などを盛り込んだ教育関連条例案について、2011年9月の提案当初は、生野照子教育委員長はこう反発した。
一時は辞任撤回も「けじめをつける」
一時は、教育委員が会見して、白紙撤回をしなければ総辞職すると表明するほどの騒ぎになった。ところが、11月の大阪ダブル選で、橋下徹現大阪市長率いる地域政党「大阪維新の会」が圧勝すると、条例案を修正すればとの条件付きで総辞職を事実上撤回した。
そして、修正された2条例が12年3月23日にようやく成立した。しかし、生野教育委員長は、結局「けじめをつける」として、27日に任期途中での辞職願を松井一郎知事に提出した。辞任については、翌28日の教育委員会会議で了承されている。
報道によると、辞任に当たって、生野教育委員長は、今後の教育行政について憂慮を示した。「教育委員会は形骸化していない」と主張し、「政治が暴走する可能性を残してしまったことに責任を感じる」と訴えたのだ。条例は、教育に対して破壊的にもなりうるとして、慎重な運用を求めている。
そう考えるのは、心療内科医として、競争の中で心を病んだ子どもたちを見て来たからだという。