もし透明人間になったら「人を殺す」 小学生が卒業文集に書いた「悪ふざけ」

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子どもが発する18個の「SOS」

   しかし専門家は、今回の件は児童たちの、ある種の「軽はずみ」な行動に過ぎないとみている。横浜心理ケアセンターでカウンセラーを務める椎名あつ子氏は、「殺す」などと書いた卒業生が本気でそう考えているわけではなく、何か重大なメッセージが隠されているとも思えないと話す。

   むしろ「もしも透明人間になったら」という質問項目を問題視し、「『何か悪いことをしてやろう』との考えが浮かびやすい質問ではないか」と指摘する。現に7人の卒業生は「もしも無人島に行くとしたら」「もしも1億円が当たったら」という質問に対しては、不適切な回答はしていない。7人は、この先ずっと残る文集に「殺す」と書いたらどんな影響があるかまでは考えが及ばなかったのだろうと椎名氏。それだけに「透明人間になったら、との問いにどんな答えが出る恐れがあるか、事前に先生たちにはチェックしてほしかった」と話す。

   今回の件とは関係ないが、一般論として子どもが「殺す」「死ね」と日記やブログなどに書きつけた場合は要注意だと、椎名氏は警鐘を鳴らす。書いた本人がいじめられているような場合の「心の叫び」かもしれないのだ。「死にたい」「消えてしまいたい」と自分に向けたネガティブな表現も危うい。

   椎名氏は、子どもが発する「SOS」として、急に学校のことを話さなくなる、愚痴ばかり言うようになる、親や人と顔を合わせなくなるといった18のサインがあると説明する。子どもも成長とともに口数が減ったりするが、「親は、単に子どもが思春期だから、で片づけないでほしい」と訴える。子どもの日記やブログを親が定期的にチェックするのは難しいが、こうしたサインを見落とさないことで、子どもを「闇」から救い出せる可能性が高まるだろう。

   同時に親は、子どもの前で夫婦げんかをしたり、人の悪口を言ったり、よその子と自分の子を比べる発言をしたりというのを控えてほしいという。「普段から親子関係を保ってよく話し合い、子どもに優しく声をかけつつ、親自身も態度を見つめ直すのが重要です」

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