AKB前田敦子さんの「卒業」にショックを受けたファンが切腹した、と中国メディアが報じた。もちろんデマなのだが、複数の中国メディアが報じており、向こうでは多くの人が信じてしまったようだ。
AKBについては中国でも関心が高く、前田さんの卒業も話題になっていたが、2012年3月26日、中国の大手新聞、人民日報の運営するニュースサイト人民網に「前田敦子卒業を電撃発表 ファンは切腹自殺」という記事が掲載された。
男性ファンがカッターで切腹を図ったと報道
それによると、突然の卒業発表に対して、会場の外にいた「30歳前後」の男性ファンが激しく興奮。持っていたカッターナイフで腹を切って自殺を図った。男性は救急車で病院に運ばれたという。会場の中では、感情的になって生写真を燃やすファンなどが続出。警察が出動して「秩序維持」に当たったとしている。
もちろん、このようなことは日本では報じられておらず、デマだ。しかし、中国では多くのメディアによってファン切腹が報じられた。「幸いなことに男性ファンは直ちに救助され生還した」なんて記事もある。
中国ネットユーザー困惑「なんで切腹するの?」
中国ネットではかなり話題になっていたようで、中国版ツイッター「weibo」には、
「なんで切腹するの? 別に前田敦子は引退するわけじゃないのに」
「自分を愛せない人が他人を愛せますか?」
「あっちゃんは人気実力美貌、すべて兼ね備えている。前途は明るいから切腹する必要はない」
「なぜ小鬼子(日本人の蔑称)は首ではなく腹を切るのが好きなんだ」
といった書き込みが寄せられた。多くの人が信じているようだ。
なぜデマが広がったかは明らかではないが、記事によっては「weiboによると」というものもある。ある中国ニュースサイトは、記事の中で「(ファン切腹は)日本の公式ニュースサイトでは確認できておらずweiboユーザーの誤報の可能性が高い」としていた。
また、別のサイトでは「現場にいた記者は『会場で嘔吐するファンもいた』と話したが、『切腹自殺』については否定した」と報じている。向こうでは本当に情報が錯綜していたようだ。27日には、台湾の大手紙、聯合新聞も切腹を報じた。
中国の掲示板では「みなさんこんにちは。これはweiboの偽ニュースです」と書きこまれていた。