「格下げ」と「インサイダー疑惑」 逆風に苦しむ野村ホールディングス

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   格下げ、インサイダー問題と野村ホールディングス(HD)が立て続けに逆風に見舞われている。2012年明け以降、世界的に株価が回復するなか、一時は赤字転落した業績も改善に向かっていただけに、同社にとってはショックだ。

   一つ目の逆風は、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが12年3月15日、野村HDの長期債務格付けを1段階引き下げ、「投資適格」としては最低位の「Baa3」としたこと。大和証券グループ本社と並ぶ位置で、これより一段下は「投機的等級」となってしまう。

日本の証券2社を見る格付け会社の目は厳しい

   今回の格下げにより、野村HDは金融機関同士のデリバティブ(金融派生商品)の取引で100億~200億円の追加担保拠出が必要なだけでなく、資金調達コストがある程度上昇しそうだ。信用が第一の金融機関としては世界で活動するのに足かせになると言わざるを得ない。

   2008年のリーマン・ショック後、欧米の証券会社は、一斉に銀行との一体化を進めた。いざという時に各国政府の支援を得られる銀行と一体化していない日本の「独立系」証券2社(野村、大和)を見る格付け会社の目は厳しい。ゴールドマン・サックスなど世界のプレーヤーと比べても野村、大和の格付けは低い。

   もともと2011年11月に「格下げ方向で見直す」とされていただけに、野村HD社内からは「格下げ発表後、株価はむしろ上昇しており、織り込み済み」との声も聞かれるが、やや強がりの面もある。なぜならこの間、渡部賢一グループCEOや柴田拓美グループCOO自らがムーディーズ詣でに励み、収益力改善などに理解を求め続けていたからだ。

   また、業績も最悪期を脱したのは確かで、一部のアナリストからは「格下げしない可能性もある」とのレポートも出ていた。このため、社内には「良識ある(格下げしない)判断が出ると祈っている」との声も少なくなかった。それだけに社内のショックも大きい。

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