ソーシャルゲームで急成長したグリーについて、当局が摘発に向けた検討を始めたと週刊誌が報じ、グリー側が、犯罪行為は一切ないと反論している。焦点になっているのは、「クジ引き」の要素のようだ。
「当局がグリーに重大な関心」。こんな見出しで報じたのは、週刊ダイヤモンドの2012年3月26日発売号だ。
焦点は、「クジ引き」の要素
その記事によると、ある政府関係者が、グリーの摘発に向けた検討が始まったことを明らかにした。この関係者は、「4~5月が山場だ」と話した。
当局が関心を持つ背景には、ゲームのアイテム課金でクジ引きの要素があるという。そして、アイテムがネットオークションで数十万円で取引されるケースもあるとし、ゲームの不具合を突いたアイテム複製で稼ぐケースも紹介している。全国各地の消費生活センターには、子どもが100万円を使ったなどの相談が次々に寄せられているなどと指摘している。
ただ、摘発が何の容疑でされるのかについては触れられておらず、その根拠は定かではない。
これに対し、グリーはこの日、プレスリリースに記事への反論文を載せた。
そこでは、犯罪行為は一切ないのに摘発が近く行われる印象を与え、会社の信用を著しく毀損しかねないと断じている。そのうえで、発行元のダイヤモンド社に抗議文を送り、信用回復のための措置を速やかに講じるよう要請したことを明らかにした。
同様な内容は、月刊誌「FACTA」が4月号ですでに報じている。
それによると、当局が摘発を検討し始めたのは、2月19日ごろからカードバトル型ゲーム「探検ドリランド」が2ちゃんねるなどで騒ぎになったことがきっかけだった。
田中良和社長「総合的に対策を検討」
クジ引きに当たる1回300円のガチャをしてカードを得るゲームで、強いカードほど出る確率が低く、20万円を使い込んだケースもあったという。これに対し、射幸性が高いとして、警察が違法賭博か詐欺が成立するかどうかを確認しているというのだ。FACTAの記事では、グリーもその可能性を調べているとしている。
FACTAについては、グリーは、プレスリリースなどで特に反論していないが、なぜなのか。
広報担当者は、「ダイヤモンドの記事の方が、書き方として犯罪行為に関係している印象を与えていると考え、弊社の判断として今回はそうさせていただきました」と取材に説明した。FACTAの記事では、ガチャが違法賭博などに当たる可能性を指摘していたが、「報道については、コメントする立場にありません。ゲーム内の仕様については、開発上の理由などから公表していませんし、説明を差し控えさせて下さい」と言っている。
ダイヤモンド社に抗議したことについては、回答はまだ来ていないという。週刊ダイヤモンドの編集部では、取材に対し、「記事に書いてある通りです」とし、抗議については特にコメントしなかった。
「クジ引き」の問題については、グリーも、未成年者の利用を制限したり、複製カードを回収したりするなどの対策を公表している。ロイターの記事によると、アイテムの当選確率を開示する対策をするかについて、田中良和社長が2012年3月26日のインタビューで、「そこにとどまらずに総合的に検討していく」と答えている。
ネット上では、グリーは道を間違え始めたといった指摘から、06年のライブドア事件のように新興産業をつぶすのはよくないなど、様々な意見が出ている。