大阪市議は市職員にどんな態度で接しているのか。中には「靴を履いたまま机の上に足を乗せて」職員を罵倒する市議もいるようだ。
大阪市の管理職に実施したアンケート結果によると、関係議員の会派は不明だが、「市議のモラルの低さ」や「入札をめぐる圧力」などを指摘する声が続々と寄せられた。以前には、大阪維新の会の市議の態度の大きさを問題視するメールが橋下徹大阪市長に届いたこともある。
入札予定価格の「強制的聞き込み」も
大阪維新の会市議団は2012年3月26日、維新の会に限らず全市議による口利き行為などに関する無記名の職員アンケート結果を発表した。課長代理級以上の約2700人を対象としたが、回答があったのは216人分だった。
回答があったうち、議員とのやりとりで「心理的・物理的負担を感じたこと」が、「ある」と答えたのは半数近くに及んだ。また、3割強が、「議員の社会的モラルやマナーの程度が低い」と感じたことがあると答えた。
具体例では、保育所入所に関連し、議員から「書類を差し替えてでも」特定人物の子どもを入れるよう迫られた話などが挙がった。ほかに、入札予定価格の「強制的聞き込み」といった問題行為を指摘する記述もあった。靴を履いたままで足を机の上に乗せ、職員を罵倒した議員もいたという。
議員の名前や所属会派、問題のやりとりがあった時期ははっきりしない。また、書かれた内容がすべて事実かどうかは不明だ。
しかし、維新の会市議団によると一部には、働きかけた議員は維新の会とみられるやりとりも報告されている。「大阪都構想に理解を示せば、(大阪都が実現した後、)都庁職員に推薦する」といった例だ。一方、支持団体名から他会派の市議とみられる口利き行為の記載もある。
維新の会市議団が調査したのは、2月に橋下市長に届いた市職員からのメールがきっかけだ。メールでは、維新の会の大阪市議について、
「接触が1番程度が低く、露骨」「内容を言わず呼びつけ、支持者を連れてきて我々を詰問する」
などと指摘し、「特に若い議員」の「マナー再教育」を訴えていた。
「しっかりと受け止めていかないといけない」
今回の「全市議」に関するアンケート結果について、維新の会とは別の会派の幹部市議にきいてみた。
「我々の(会派の)応対は、(職員に)高圧的と取られることは決してないと思ってます。1期生議員にも教育している」とした上で、「維新の会には1期生が多いでしょ。見ていて、(職員との)対応のテクニックも分かってない議員が多いですね」
と、今回の調査結果は基本的には維新の会議員に対するものではないか、との見方を示した。第1党の維新の会は、33人中20人が1期目だ。
今回の調査を担当した維新の会の河崎大樹市議に3月27日、話を聞くと、市議全般に対する厳しい声が多かったことについて、「しっかりと受け止めていかないといけない」と話した。
記載内容がすべて事実かどうかも分からないし、「かなり昔の話ではないか」と思われるものもある。また、アンケートの回収率が1割に満たなかったことから、不満が強い職員が回答したために「5割近くが負担を感じた」といった高い数字が出る結果になっている可能性も指摘した。
事例の多くは該当する議員の所属が不明だが、中には維新の会だとうかがわせるものもある。維新の会として「重く受け止めるべき」結果であることは間違いない。
大阪市では、橋下市長の指示を受け4月から、市議らからの要望記録を従来よりも「広い範囲で解釈して」残すように内部規定を改正する。河崎市議は、市の改正以上に「より徹底した透明化」を進めるべきだと話す。市議団内で議論を進めているという。