メガソーラー建設ラッシュ 7月からの「買い取り制度」が後押し

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   大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設が本格化してきた。自治体を巻き込んで、孫正義社長が率先して取り組んでいるソフトバンクグループだけで、4県6基の建設が決定している。

   2012年7月から、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電気の全量買い取りを義務付ける「固定価格買い取り制度」に移行することが、メガソーラーの建設ラッシュを後押ししている。

原発後の地域経済「復興」を狙う

   ソフトバンクグループのSBエナジーが手がけるのは、京都府(2基)と群馬県、栃木県、徳島県(2か所1基ずつ)。

   京都市伏見区のメガソーラーは、最大8万9800平方メートルある水垂地区の埋め立て処分場に設置。京都市の計画に、京セラが太陽光発電パネル1万7000枚を供給してシステムの設計や施工を手掛け、SBエナジーが売電を含めた施設の運営を任された。

   発電設備は2基で、7月と9月にそれぞれ運転を始める予定。年間発電量は一般家庭約1000世帯分の毎時420万キロワットを見込んでいる。

   また、群馬県榛東村は八州高原が予定地。村有地の約5万平方メートルのゴルフ場跡地に、シャープが太陽光発電パネルを供給して、4月から建設に取り掛かる。年間発電量は一般家庭約640世帯の年間消費量に相当する約268万キロワットとしている。

   榛東村にはSBエナジーの売電収入の3%が土地賃料として支払われる。7月から、再生可能エネルギーの全量買い取り制度が始まれば、年間約300万円となると試算する。

   メガソーラーの建設はあちらこちらの自治体で具体的な検討が進められている。そんな中で、福島県南相馬市は福島第一原子力発電所事故の警戒区域にある農地にメガソーラーを建設するという。東日本大震災の復興特区制度を活用。桜井勝延市長とソフトバンクの孫社長が、3月19日に農林水産省を訪問した。

   南相馬市の警戒区域には854ヘクタールの農地がある。原発事故後の荒廃と、警戒区域の指定が解除されても除染や風評被害などの課題を克服していくには時間がかかるため、メガソーラーの設置で農地所有者に対価を払い、新たなエネルギー産業の導入による地域経済の復興を狙う。

原発1基分で「山手線の広さ」が必要

   メガソーラーの建設ラッシュのきっかけともいえる「固定価格買い取り制度」は7月の施行が決まっているが、実際の買取価格などの詳細はなお検討中だ。

   ただ、再生可能エネルギー源(太陽光や風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電力の全量を電気事業者が一定価格で買い取ることが義務付けられるので、太陽光発電事業がビジネスとして成立する見込みが出てきたのは確かだ。

   メガソーラーの1基あたりの出力は原発の1000分の1から数百分の1程度とされる。しかし、土地さえあれば数か月で建設できるため、いま取り掛かれば7月に始まる「固定価格買い取り制度」の施行とともに電力が供給できるかもしれない。

   とはいえ、電気事業連合会は一般論としながらも、「毎時100万キロワットを発電する原発1基分を太陽光発電でまかなうには、山手線内と同じくらいの敷地面積が必要になる」と話している。

   日照時間などによって供給量が変わるので、「需要と供給のバランスを保つために火力発電を調整する必要も出てくる」と説明する。ちなみに現在、日本に原発は54基ある。

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