中小企業はこれからが本番
経団連は今春闘で、震災と円高を理由に2004年以来8年ぶりに定昇凍結の可能性に言及していたが、大企業の大半は一時金を削っても、組合員との約束である定昇維持を選択した。
今春闘の一斉回答について、経団連の米倉弘昌会長は「電機、自動車、鉄鋼など日本の主要産業が企業の存続や雇用維持を最優先し、精一杯の努力をした。定昇は経営サイドも重く受け止めており、一時金も微少な減少で済んだ」と評価した。
シャープは社長が事実上の引責辞任を迫られるなど、経営側にとっても「痛み」を伴う結果となった。
連合の古賀伸明会長は会見で「要求からすると十分でないかもしれないが、ぎりぎりの交渉で引き出した回答には重みがある。今回の中央の回答が地方の(中小企業などの)底上げとなるよう努力したい」と語った。連合が求めた総額人件費の1%上乗せは、今春闘でも経営側から明確な回答がなく、曖昧な決着となった。
多くの大企業は定昇維持で妥結したが、中小企業の春闘はこれからが本番で、雇用や定昇維持をめぐる攻防が続く。中小企業の春闘は、大企業の一斉回答を受けて労使交渉が本格化し、3月下旬から5月にかけて妥結するケースが多い。