事故以前も低血糖で意識障害 なにか釈然としない、ひき逃げ「無罪」

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10年5月には同ケースで懲役2年6月の実刑判決も

   低血糖にともなう意識障害をめぐる責任能力が争われた裁判では、逆の結果が出たケースもあり、今回の無罪判決は異例だ。例えば、09年6月に道路端にいた無職男性(当時83)を車ではねて死亡させたとされるケースでは、男性被告は「事故を起こしたことを覚えていない」と主張していたが、東京地裁立川支部は「事故についてだけ記憶がないという供述は不自然」だとしてこれを退け、10年5月に懲役2年6月(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡している。

   なお、02年の道交法施行令の改正で、無自覚性の低血糖症だと診断された人に対しては、都道府県の公安委員会は運転免許の交付や更新を拒否できるようになっている。だが、症状に該当するかどうかは自己申告制のため、制度が有効に機能するかどうかは不透明だ。

   ただし、「糖尿病患者は、他の人と比べて有意に事故のリスクが高い」ということはならないようだ。1998年10月から99年11月にかけて、京都府立医科大学付属病院などの患者を対象に行われた「低血糖と交通事故の関連調査」(有効回答数: 1706)では、

「糖尿病やその治療が、事故率を上昇させる大きな因子とは判断できない」

と結論づけている。一方、この調査では、

「糖尿病治療による低血糖発作が、潜在的な交通事故の危険因子であることは否定できない」

とも指摘しており、予防策として(1)空腹時や、低血糖発作が起きやすい時間帯の運転や外出を避ける(2)砂糖などを携帯して低血糖の症状に注意する、といったことを挙げている。

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