1000円札に会社の同僚女性の名前と、わいせつな文言を書き、金融機関のATM(現金自動受払機)に大量に入金していた男性会社員(29)が名誉毀損の疑いで逮捕された。
現金を引き出す不特定多数の人に見せる狙いがあったたようだ。今は相手を中傷する場合、掲示板やブログに書き込むのが一般的だけに、ネットでは「あっと思わせる斬新な犯罪手法」などと話題になっている。
「わいせつな書き込み」紙幣が見つかった
この事件を扱った静岡県警天竜署によれば、昨年12月、天竜区にある郵便局から「わいせつな書き込み」がある紙幣が見つかったと通報があった。紙幣には2人の女性の名前が書かれていていたため、女性に確認したところ名誉毀損で告発したいとの要望が出たため本格捜査に乗り出した。
見つかった1000円札にはフェルトペンで、黒や赤などカラフルな色の文字が書かれていた。文字はそれほど大きいものではなく、紙幣の隅などに書かれているものが多かった。
ネットの時代になぜこの発想が生まれたのか?
天竜署は2012年1月27日、金融機関に協力を要請し、書き込みがある十数枚の1000円札がATMに預け入れられたことを突き止め、会社員を特定した。この会社員は容疑を認めていて、昨年12月から今年2月末までに会社員の手による250枚もの1000円札が見つかっているという。
会社員は、自分が預け入れた1000円札が同じATMから引き出され、たまたまその千円札を手に取った見知らぬ人が、書き込んだ中傷の文言に気づくよう仕向けたわけだ。新手の「愉快犯」ではあるが、ATMには監視カメラがあるから、警察がその気になって調べると、すぐにばれてしまう。
ネットでは、掲示板やブログに中傷や個人情報を流して問題になるこの時代なのに、いったいどうすれば「お札に書き込んで流布させる発想が出てくるのか?」などと話題になっている。
「250枚も書くとは暇な奴だな」
「これって新しい宣伝方法じゃね?めんどくさいけど」
「ATMなんか『捕まえて下さい』と言ってるようなもんだろ」
「その労力をもっと他には向けられなかったのかねえ」
などといったコメントが寄せられていた。