日本航空(JAL)の植木義晴社長は2012年3月21日の定例会見で、次世代中型旅客機のボーイング787型機初号機の引き渡しスケジュールを発表した。787をめぐっては、納入スケジュールの遅れが続いていたこともあって、植木社長は「本当にお待たせしました」と胸をなで下ろしていた。
初号機は3月25日(現地時間)に米シアトルのボーイング社でJALに引き渡され、3月26日16時(日本時間27日8時)に日本に向けて出発。27日18時30分(日本時間)に成田空港に着陸予定で、4月22日に新設予定の成田-ボストン線に投入される。787が航空会社に引き渡されるのは、11年9月の全日空(ANA)に続いて、JALが世界で2番目となる見通し。
初号機はビジネスクラス42席、エコノミークラス144席の計186席。ボーイング767型機と比べて窓が1.3倍に大きくなり、天井も約14センチ高くなった。
ボストン便の予約率は8割以上
成田-ボストン線の4~5月の予約率は成田発、ボストン発ともに8割を超えており、特に4月中は、ほぼ満席だという。
JAL向けの787をめぐっては、11年秋時点では11年中に納入される見通しだったが、不具合の修理など最終調整に時間がかかり、約3か月も納入が遅れた。植木社長は、
「『本当もお待たせしました』という(心境)とともに、1号機のデリバリーは喜びに感じている」
と振り返った。JALは現時点で45機の787を発注しており、4月以降、羽田-北京線、成田-デリー線、成田-モスクワ線にも787が投入される。2号機以降の納入スケジュールについては
「全くリスクがないということではないと認識している」
と、慎重な姿勢を示した。
なお、3月1日に格安航空会社(LCC)の「ピーチ」が就航したことについては、
「LCCは新規需要の開拓という面で、我々にとってもメリットがある。カニバリゼーション(共食い現象)も、ある程度発生するが、彼らの(路線計画などの)実態は把握しているので、それを踏まえて中期経営計画も組んでいる。ターゲットの顧客は全く違うと認識している」
と、影響は限定的だとの見方を示した。