プロ野球巨人が、業界内で取り決めた「最高標準額」を上回る計36億円を選手に支払っていたとされる問題で、風向きが変わりつつある。
当初は読売側は、この問題を大々的に報じた朝日新聞を批判する論調だったが、ここに来て、その矛先が変わりつつある。新たなターゲットは「あの人」だ。
2日連続で社会面トップにプロ野球問題
読売新聞朝刊(東京14版)の社会面トップには、2012年3月18日と19日の2日連続してプロ野球関連のニュースが掲載されている。3月18日の紙面では、「『内部資料』誰が裏付け」と題して、朝日が記事の根拠とする「内部資料」を誰が流出させ、信ぴょう性をどのようにして確認したかについて検証を試みている。
記事では、この「内部資料」にアクセスすることが可能だったとみられる過去の球団社長、代表、経理部長への接触を試みているが、資料の漏えいを認める人はいなかった。例えば、11年11月に球団代表を解任された清武英利氏は
「弁護士事務所を通してください」
などとしてコメントしなかったという。
翌3月19日の紙面では、
「球界の契約情報暴露」「清武氏の著書に怒り噴出」
という見出しの記事で清武氏が登場している。記事は、3月16日に発売された清武氏の著書「巨魁」(きょかい、ワック)を批判したもの。
著書では、「某球団の極秘文書」だとして、
「契約金1億円 インセンティブ2億~2億5000万円(本人と調整中) 4~5年後メジャー挑戦の確約(本人と調整中)」
と交渉の内容を暴露しており、読売の記事では
「球団トップが、スカウトが集めた重要な情報を外に出すことが許されるなら、我々はアマや関係者の信用を失ってしまう」
と、他球団の中堅スカウトが怒りの声を紹介している。