取引銀行を敵に回したエルピーダ 再建の先行きに暗雲垂れ込める

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   製造業で過去最大の4480億円(2011年3月末)の負債を抱えて会社更生法適用を申請した半導体大手エルピーダメモリは、坂本幸雄社長らが引き続き経営にかかわる「DIP型」の再建を目指すことを表明した。だが、エルピーダが事前の調整なく更生法申請に踏み切ったことで取引銀行との関係は冷え切ってしまい、手持ち資金が少ない中でのDIP型再建の先行きに暗雲が垂れ込めている。

   会社更生手続きでは通常、経営陣が辞任し、裁判所が選任した管財人が再建にあたる。しかし、再建のスピードアップなどを目的に、主要債権者の同意など一定の要件を満たせば、経営陣の続投が可能になった。

取引銀行にとって申請は「寝耳に水」

   エルピーダは2012年2月27日の更生法申請後の記者会見で、「半導体メモリのDRAM業界は高度な専門性が必要だ。坂本社長が続投して企業価値の毀損を抑える」と、DIP型で再建を図る理由を説明した。

   だが、坂本社長の続投には不満もくすぶっている。エルピーダは更生法申請直前まで「資金繰りにはまだ余裕がある」と説明し、国から認定を受けた改正産業活力再生特別措置法(産活法)を期限の3月末から3カ月延長してもらう考えも示唆していた。このため、取引銀行にとって申請は「寝耳に水」(大手行)だった。

   しかも、主要行から預金計約250億円を更正法申請前に引き出し、取引のなかったりそな銀行に移し替えていた。預金が融資と相殺されるのを避けるための措置とみられているが、引き当てが十分でなかった銀行もあり、金融機関の現場では「不信感が渦巻いている」(同)という。

   とはいえ、これまで坂本社長の「豪腕」で切り盛りしてきた会社だけに、他に再建を任せる人物も見当たらず、各行はDIP型再建を消極的ながら認めることになりそうだ。さらに、エルピーダはそもそもメーンバンクがなく、メガバンクなどの協調融資も「日の丸半導体」を残したい経済産業省の説得に応じて実施されたものだった。2011年から窮地に陥っていたエルピーダの支援にはどの銀行も及び腰で、エルピーダから見れば「見捨てた銀行にも責任がある」 (同社関係者)との思いが強い。

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