毎日来られない人のためにサービス
――今後の展望を聞かせてください。
宮治 今後高齢化が進み人口は減る一方なので、規模を拡大していく気はありません。その分、ブランド力を高めていきたいと思っています。「宮治さんから豚を買いたい」という人を増やしていきたいですね。
「こせがれネットワーク」については、拡大していきます。都会のこせがれが実家に帰ったとき、一番困るのは周りに助けてくれる仲間がいないこと。だから誰かが誰かを助けられるように、ネットワークを増やしていきたいと思っています。
菜穂子 実は今度「ファームメイド」というのを始めます。菜園付きのファームでは、都会などにいて毎日来られない人のために、誰かが代わりに世話しますよね。それの女子版で、わたしたちが日々の畑仕事をやるというサービスです。女性だから「メイド」なんです。
秋葉原の喫茶を連想させて、冗談みたいな名前ですが、東京と(山形ガールズ農場のある)村山市の人をつなげたいという思いがあってやること。どんどん人が集まる場所になればいいなと願っています。
食糧自給率の低下や後継者不足問題、そしてTPP参加と、問題山積みの「ニッポンの農業」。そうした中で再生への取り組みも進みつつある。J-CASTでは、農業の将来を考えるトーク番組を3回にわたり、「J-CAST THE FRIDAY」スペシャルとして放送する。第2回目のゲストが宮治勇輔さんと菜穂子さん。番組は、2012年2月28日に放送された。
プロフィル
宮治勇輔(みやじ・ゆうすけ)さん…「株式会社みやじ豚」代表取締役社長、特定非営利活動法人「農家のこせがれネットワーク」代表理事CEO
1978年、湘南の養豚農家の長男として誕生。2001年株式会社パソナに入社。2005年6月に退職。実家の養豚業を継ぎ、2006年9月に「株式会社みやじ豚」を設立し代表取締役に就任した。独自のバーベキューマーケティングの効果もあり2年で神奈川県のトップブランドに押し上げ、みやじ豚は2008年農林水産大臣賞受賞するまでになった。2009年、日本の農業の現状に強い危機意識を持ち「特定非営利活動法人農家のこせがれネットワーク」を設立。農家とこせがれのためのプラットフォーム作りに取り組む。
菜穂子(なほこ)さん…国立ファーム株式会社 山形ガールズ農場 代表取締役
1981年生まれ。横浜国立大学を卒業後、 農家である山形の実家に戻り、果樹や米など5年間研修を積む。2007年3月に国立ファーム有限会社に入社。2009年に「国立ファーム株式会社 山形ガールズ農場」を設立。米や果樹、野菜の生産という基本はもちろん、ビジネスとしての農業を、女性の立場から実践し職業として憧れられる環境を作りたいと日々奮闘中。