宮治勇輔さん(33)は元サラリーマンだ。独自の方法で実家の「みやじ豚」を2年でトップブランドに押し上げた。
菜穂子さん(30)は、大学卒業後すぐに実家の果樹園を継ぎ、いまは女性だけの農業生産法人「山形ガールズ農場」の代表として、20代の女性6人と米や野菜を作っている。
いま、農業界が注目する若手2人に、稼げる農業の方法論を聞いた。
生産からお客さんの口に入るまでを一貫してプロデュース
――宮治さんは27歳のとき東京の会社を辞め、実家の養豚農家を継ぎました。きっかけは何だったのでしょう。
宮治 もともと農業なんてやるもんか!と実家を飛び出したクチだったんですが、いろいろ本を読むうちに、「1次産業を『かっこよくて、感動があって、稼げる』3K産業」にしたいと思ったんです。
これまでの農家は、作ったものを市場で買い取ってもらうだけでした。価格の決定権もないし、消費者に名前が知られることもありません。生産からお客さんの口に入るまでを一貫してプロデュースできれば、業界は変わると思ったんです。作るだけでなく、マーケティングや営業、流通もすべて「1次産業」だと思えばこれほどかっこいい仕事はないだろうな、と。
――「みやじ豚」では、具体的にどんな活動を?
宮治 「バーベキューマーケティング」という手法を使っています。定期的にバーベキュー大会を開き、お客様に「みやじ豚」を知ってもらう。「みやじ豚」を1番おいしく食べられる調理法で味わってもらう。チラシやサイトをどれだけきれいに作っても体験しなければ人は動いてくれません。お客と直接コミュニケーションが取れるので、消費者の動向をキャッチするのにも役立っていますね。
――その成果は出ていますか。
宮治 おかげさまでブランド豚として認知されるようにもなりました。また、ネットを通して直接買ってくれるお客様も増えています。バーベキューも1度に100人くらいが参加してくれます。