小学校5、6年生で英語の授業が必修化されて1年が経とうとしている。カリキュラムに取り入れて初めての年とあって、どの小学校も手さぐりでの授業のようだが、その取り組みはさまざまだ。
ある私立の小学校では低学年から週1時間、しっかり授業を行うところもあれば、公立の小学校では外国人教師を招いて「英語遊び」を授業として行っているところもある。
「年35コマ、週1回」が必修
2011年度から、小学5、6年生に年35コマ、基本的には週1回、英語の授業が組み込まれた。文部科学省の学習指導要領によると、英語の授業はコミュニケーション能力を養うためであり、英語の音声や表現に親しみ、外国の文化を学ぶことなどを目的としている。
英語の習得を目指しているわけではなく、たとえば子どもへの評価も英単語をいくつ覚えたとか、どのような文法を用いればよいとか、「そういったことを評価するものではありません」(文部科学省)という。
これまでの中学・高校での英語教育では「読んで訳すこと」が重んじられたが、これからの子どもたちは「英語が生きた言葉である」ことを実感するところからスタートする、というのだ。
とはいえ、教育の現場で教師はとまどっている。そもそも、誰が英語を教えるのか――。文科省の趣旨に従えば、ネイティブな外国人教師が求められているのかもしれないが、小学校には英語専門の教師はいないのが通常だ。
ベネッセ教育研究開発センターによると、現状は「基本的には担任の先生が教えています。熱心な先生がいる小学校は工夫して対応しているようですが、すべてがそうではありませんから、教育委員会などが外国人指導助手を民間会社に業務委託するなどして、何とか遣り繰りしている学校もあります」という。
同センターが小学校の教師に「英語活動への指導に自信があるか」聞いたところ、約7割の教師が「あまり自信がない」「まったく自信がない」と答えた。「5、6年生の担任になると、英語の授業を受け持つことになるので、できれば避けたいという先生もいるようです」と、いうのだから深刻だ。