自民党の河野太郎衆院議員が自らのブログで、東電の電気料金値上げについては断ることができると発言して、驚きの声が広がっている。あくまで企業など大口顧客についての話だが、東電では、発言についてコメントするのを控えている。
河野太郎氏によると、値上げを断れると判断したのは、東電から手紙が来たことからだった。
あくまで企業など大口顧客の話と追記
「電力料金値上げのお願いにつきまして」。こう題した手紙が東電の支社から届き、そこには2012年4月1日から値上げしたい趣旨とともに、新料金に了承できないときは、3月30日までに連絡がほしいと書かれてあった。
そこで、河野氏が東電に電話すると、「これはあくまでお願いです」と話したというのだ。そして、「ご契約終了までは、現在の電力料金で電気を送るのが基本です」と河野氏に説明した。
連絡しない場合は、勝手に値上げするのかとただすと、その場合は、折衝すると答えた。ただ、新しい契約書は特に作らないという。
これに対し、河野氏は、手紙が来たとしても、「現在の契約期間が終了するまでは、値上げに応じる必要はない」と突っぱねた。東電が折衝するとしているのは、「非常に怪しい」とし、値上げがイヤなら、「専用ダイアルに電話して、契約期間内の値上げをお断りしておいたほうがいい」とまで言い切った。
河野氏が15日にブログを書いたときは、企業などの大口顧客の話と限定していなかった。その後、一般家庭の電気料金も7月から10%値上げされる見通しが報じられているため、その値上げも断れるのかと憶測を呼んだ。ツイッターでこの点を指摘されると、河野氏は、大口顧客の話だと急きょブログに追記を入れた。
大口顧客の電気料金は、個別契約で決める自由化部門とされており、東電が値上げについて「お願い」と言っているのはそのためらしい。
真偽不明だが、実際に断ったとのツイートも
大口顧客の値上げについては、代替火力に使う原油が高騰しているなどを理由に、東電が2012年1月17日にすでに発表している。契約電力が50キロワット以上の企業などは、1キロワット時当たり2円超の値上げになる。平均すれば、17%の値上げになる計算だ。
しかし、大口顧客となる各自治体から強い反発が出ているほか、一部の商工会議所からは不払い運動も出ている。長引く不況の中だけに、このほかの企業や団体などからは、値上げに反対する声も上がっている。
こうした中で、河野太郎氏の発言を受けて、断れるなら値上げを断ろうとする声もネット上で漏れている。ツイッターでは、実際に断ったとの報告もあり、「これ本当。丁度昨日ウチの工場がやってた」「本日子会社で実行。契約は7月迄なので値上げ分の約25%削減に成功」と真偽が分からない情報が出回っている。
東京電力に、河野氏の発言についてどう思うか聞くと、広報部では「趣旨は分かりますが、詳細を把握していませんので、何とも申し上げられないです」と話した。実際に値上げを断れるのかについては、こう言う。
「お客さまには、ご説明申し上げてご理解いただけるように努力します。契約ですので、協議が整わないこともあるかもしれませんが、そうならないように話し合いたいということです。それでも協議が整わないときについて、どう対応するかは今のところ決まっていません」
連絡がない場合は値上げするかについては、「どのお客さまに対しても、ご説明が大前提ですので、手紙を送って終わりはないと思います。しっかりお話しさせていただきます」。
実際に値上げを断る連絡が来ているのかについては、回答を差し控えたいとした。「納得がいかないという声があるのは当然だと思いますので、しっかり受け止めさせていただく」としたうえで、値上げ拒否の場合について、「ご理解いただけるように努力します」と繰り返している。