戦後を代表する評論家の吉本隆明さんが2012年3月16日、亡くなった。87歳だった。
文学や思想の世界のみならず、幅広く様々な分野に関心を持って発言を続け、長年にわたり戦後世代に大きな影響を与えた吉本さん。多彩なジャンルの有名人がその死を悼むコメントを発表し、改めてその存在のすごさを見せ付けた。
「ほぼ日刊イトイ新聞」のトップに
「みなさん、ありがとうございます。父は最後まですごくがんばりました。父が危篤なことを言えずつらい一か月でした。一時はもちなおしたのですが」
次女で作家のよしもとばななさん(47)は16日、滞在先の香港からツイッターで、吉本さんの最近の様子をつづった。
「最後に話したとき『三途の川の手前までいったけど、ばななさんがいいタイミングで上からきてくれて、戻れました』と言ってくれました。もう一度、話したかったです。『としよりは、同じ話ばかりで情けない』と言うので、そんなことはない、いるだけで嬉しい、と言うと、『そう思えたらいいんですけどね』と笑いました。最高のお父さんでした」
吉本さんとの共著もある糸井重里さん(63)は運営する「ほぼ日刊イトイ新聞」のトップページに、写真付きで追悼のメッセージを掲げた。「ぼくは、何年も前から、吉本さんがこの世から亡くなることを、惜しまないようにしようと、じぶんを慣らしていました」という糸井さんだが、
「ただ、ほんとうに帰ってこない日が来るとは、思っていなかったのかもしれませんね。吉本さんのいない世界に生きていることを、ぼくはさんざん練習してきましたから、平気です。あとは、とても健康な悲しみばかりです。思っていたのと全然ちがって、ずいぶん悲しいです」
とショックが大きい様子だった。