外貨預金「円売り」 急激な円安「利益確定」に動く

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   円預金よりも、他国の通貨に預けるほう高金利を期待できるということ注目を集めていた外貨預金。その多くは米ドル預金だが、2012年2月以降の円の急落で「円売り」が増えているようだ。

   東京外国為替市場は3月15日、米景気の回復期待の高まりを背景にドルが買われ、円相場は一時、1ドル84円18銭まで続落した。84円台を付けたのは、東日本大震災以後の11年4月13日以来、約11か月ぶりのことだ。

外貨預金ブームは「一服」?

円安にふれて外貨預金は「利益確定」の動きもある(写真はイメージ)
円安にふれて外貨預金は「利益確定」の動きもある(写真はイメージ)

   東日本大震災以降、円は「超」のつく勢いで上昇した。2011年3月17日には戦後最高値となる1ドル76円25銭となり、翌日に「円売り」の為替介入があったものの、その約5か月後の8月19日には1ドル75円95銭に更新。その後も円高基調は変わらず、10月25~27日には3日連続で戦後最高値を更新して1ドル75円67銭を記録するなど、超円高が続いた。

   外貨預金を始めるタイミングは、日本円に対して外国通貨が安くなったとき。つまり米ドルでいえば、円高ドル安のときがよいとされる。そのため、「外貨投資は今しかない!」とばかりに、外貨預金に関する問い合わせが、銀行などに殺到した。

   最近の1か月の為替動向から、「当面は1ドル85円台を目指す展開になりそう」と、一段の円安を見込んでいる専門家もいる。「超円高」のときと比べれば、円は10円近くも下落したことになる。

   インターネット専業銀行の住信SBIネット銀行は、「外貨普通預金の残高は減っていますね。円を売って利益を確定しようと動かれたお客様が少なくないということでしょう」とみている。

   外貨預金の人気は「超円高」のときのような勢いはなく、「ひと息ついた」といえそうだ。

高金利の外貨預金に「買い増し」や「乗り換え」も

   とはいえ、一方で低金利の円を売って、金利先高感が強い米ドルや豪ドルに資金をシフトする動きは加速している。

   現在、円定期預金の金利がよいとされるインターネット専業銀行でさえ、預入期間1年で年0.3%程度。メガバンクなどは年0.03%前後だ。それに比べれば、米ドル定期預金の3か月物でも年0.19355%、豪ドルだとじつに年5.00%にもなる(いずれも、ソニー銀行。2012年3月15日現在)のだから、比較にもならない。

   「外貨普通預金は減っている」としていた住信SBIネット銀行でも、「外貨定期預金は増えていて、普通預金から(高金利の)定期預金へ移し替えるお客様もいます」と話している。

   また、ソニー銀行は外貨預金について、「ここ最近では『円売り』が増えている傾向にはあります。ただ当行の外貨預金には円に戻さずに、外貨から外貨に乗り換えることができる仕組みがあり、それを使ってより高金利の通貨に乗り換えるケースもあります」と話す。

   現在キャンペーンを実施している「ブラジルレアル外貨定期預金」は年6.00%もの金利が付いている。期間1か月ということもあり、金利の動向をうかがうにはちょうどよい商品ともいえ、円やユーロなど「売り」が多い外貨の中では数少ない「買いが増えている通貨」という。

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