津波塩害・地盤沈下… 「震災」紀元2年、先の見えない農業被害【福島・いわき発】

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   東日本大震災で沿岸部は大津波に襲われた。地盤も沈下した。いわきでも砂浜が水没して狭くなった。波消しブロックが連なる新舞子海岸(=写真)は、それで波音が高くなった気がする。砂に埋もれたブロックの間から護岸にまで波が押し寄せている。


   ある飲み会で誰かが「沿岸は、50センチは沈んだ」と言った。みんながうなずいた。測ったわけではないが、見聞きしているからわかるのだ。


   市街地のビルと歩道に段差ができ、橋と道路に段差ができて、修復工事が行われた。坂の上に橋がある――そんな印象の橋が多くなった。内陸部は10~20センチくらい沈んだか。


   津波に襲われたために除塩が必要になったいわきの沿岸部の農地は、ネットの情報によると、北から新舞子の下仁井田・下大越・藤間・下高久、ずっと南に下って錦地区の計61ヘクタールに及ぶようである。


   3月12日から18日まで、いわき総合図書館で開かれている「東日本大震災復興写真展」「ふるさとだより展」を見た。海水に浸かった新舞子海岸そばの田んぼの空撮写真があった。下大越~藤間あたりか。


   4・11には、いわきの南部の断層が動いた。田人の山が崩れ、4人が亡くなった。田人のほかに、遠野・常磐地区などに地表地震断層が出現した。こちらは段差がメートル単位のところもある。ハマ・マチ・ヤマと3層に区分できるいわきだが、南部のヤマで大きな段差ができ、ハマでは地盤沈下が顕著になった。


   先日、ハマの農村に住む友人が来ていうには、田んぼの用排水機能がおかしくなっている。もともと最下流の沿岸部にある田んぼだ。地盤沈下が起きて稲作に支障が出かねない事態になったか。マチの人間には想像もつかない問題が多々ある。


   そんなことを考えていたら、きのう(3月14日)の午後6時すぎ、家が揺れて、北海道から岩手までに津波注意報が発令された。心がざわざわした。


   「原発震災」紀元2年であることを、あらためて確認する。3・11から1年はたったが、それは3・11が2年目に入っただけ、ということなのだと。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
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