アイドルグループ「AKB48」のコンサートで、「音席」という名前の、税込み480円チケットが発売され話題になっている。
会場内に席はあってもステージが全く見えない席のため、コンサートの音のみ楽しめる。ユニークだから絶対ゲットしたい、と騒ぐファンもいるが…。
「クソ席と申し上げたほうがよいかもしれません」
「AKB48」の公式サイトでは「AKB48コンサート『業務連絡。頼んだぞ、片山部長!inさいたまスーパーアリーナ』」のチケット先行予約に関する詳細を2012年3月12日に発表した。
コンサートは3月23日から25日まで行われるが、抽選に漏れてチケットが買えない人が出ているため、今回はできるだけ多くのファンが来られるように2種類の特別チケットを用意した、と書いている。
その一つが「死角席」で、例えばステージセットの後ろの席はステージが見えにくい。それを正規料金6800円のところ3400円で販売する。絶えずジャンプしていなければステージが見えない、といった弊害があるかもしれないが、セットの位置がまだ決まっていないため、もしかすればよく見える「神席」になる可能性もあるという。
もう一つは「音席」だ。これはステージが確実に見えない席で
「この際、『クソ席』と申し上げたほうがよいかもしれません。お客様の視界にメンバーが入ることは、まずございません。どうか、1%も期待しないでください」
と公式サイトでは説明している。機材音が響くため音さえ聞き取りにくい可能性もあるが、それでもコンサート会場で盛り上がりたいと思っている「真のAKB48ファンの方のみ」応募してほしいと呼びかけている。本来ならば無料にしたいけれども、システムの都合上480円で販売するという。
「音席」は2000席を用意
ではこの「音席」はどれくらいの数が用意されていて、場所はどこなのだろうか。「AKB48」の事務所AKSに聞いてみたところ、まず、今回のコンサートは1回に2万2000から2万3000人を収容する予定になっていて、そのうち「音席」は2000席を用意する。場所はステージ後方だそうだ。
抽選に漏れたファンが「音漏れ」を聞きに会場の外に集まっていたことを考えれば、会場内で一緒に盛り上がれる可能性も高く、「会場に行けるだけで充分!」などと歓迎ムードが広がっている。一方で、ステージが見えないため、「推しメン(イチ推しメンバー)」が登場してもリアルタイムに応援ができるのか、といった声も出ている。会場全体が盛り上がっても「音席」だけが何が起きているのかわからず孤立してしまうというわけだ。このため、「小さくてもいいからステージが映っているモニターがあれば」と訴えるファンもいる。