会員数1000万人を突破しているネットコミュニティサービス「アメーバピグ」で異変が起きている。15歳以下の会員について、ほかの利用者と交流する機能を近く停止すると運営会社が発表したからだ。
会社サイトで機能停止を発表すると、翌日昼過ぎの段階で2万7000件を超えるコメントが殺到した。「15歳以下」からとみられる悲鳴にも似た意見もあれば、規制を当然視する「大人」の声もある。ただ、年齢登録が本物かどうかは不明で、「偽15歳以下」が騒ぎに加わっている可能性も否定できない。
友人訪問など交流機能が使えなくなる
運営会社サイバーエージェント(東京)は2012年3月13日、アメーバピグ(PC版)などのサービスで、15歳以下の利用者について4月24日から「一部機能」に利用制限を設けるとサイトで告知した。サービスは無料で遊べるが、「服50円」など課金制のものもある。
規制する「一部機能」とは、ほかの会員と交流する機能だ。ネット上の自分の分身(アバター)が、「友人」の部屋を訪れたり、様々な「エリア」にでかけたりすることができなくなる。
規制以降もできることは、アバターの「部屋や庭」で、着せ替えや模様替え、一部のゲームなどだ。
サイトの告知では、規制理由について「青少年のみなさまを守るために必要な対策となりますので」と理解を求めている。登録上の16歳になれば、また交流機能が使えるようになる。「15歳以下」の会員は、全体の約14%いる。
アメーバピグをめぐっては、2011年秋以降、中学生らが別の中学生や小学生のパスワードを聞き出して不正アクセスした疑いで、書類送検されたり補導されたりする例が続いていた。規制には「15歳以下」同士のトラブルを避ける狙いがある。
「これじゃ何にもできない」
告知のコメント欄には、
「おかしいでしょ、(規制範囲が)これじゃ何にもできない」「それはひどくないですか…? 15歳未満のことも考えてよ…(泣)」「制限されすぎて悲しい」
といった声が相次いだほか、「裁判」を示唆して強く反発する意見も寄せられた。規制がかかる「15歳以下」からのコメントのようだ。
コメントは、ネット上誰でも読むことができるが、投稿できるのはアメーバ会員だけだ。
一方、「16歳以上」からは、「出会い系と詐欺の被害」を指摘し、「もっと規制を厳しくすべき」といった声や、「子供は子供らしくお勉強し、お外で遊びましょう」と突き放す書き込みもあった。
気になるのは年齢登録が本物かどうかだ。今回の騒動を受け、ツイッターなどでは、これまで楽しんでいた「小学生との会話」を今後どうすればいいのか、といった「悩み相談」もあった。
アメーバピグでは、2011年4月から、原則として「18歳未満」と「18歳以上」とは、交流可能エリアを分け、「大人が子供」のエリアへは入ってはいけない仕組みにした。ただ、年齢登録時やエリア移行時にウソをつけば突破は簡単だった。
ということは、「小学生との会話」を楽しんでいたという人は、中高校生のような18歳未満でなければ、何らかの詐称をしていたことになる。アメーバ告知サイトへのコメントの中にも「偽15歳以下」による規制反対の声が紛れ込んでいる可能性はある。
年齢詐称などパトロール強化へ
サイバーエージェントの広報担当者によると、アメーバピグと子供たちをめぐり刑事事件になったのは最近の不正アクセス問題だけだ。ただ、「出会い系と詐欺」も、ネット上で問題点が指摘されていることは把握しており、ピグ上の「会話」などの監視パトロールに力を入れている。
年齢詐称の発覚事案の数については「公表していない」が、「そこまで多くはない」そうだ。
今回の「15歳以下規制」を受け、16歳以上とウソをつく、偽登録が増える可能性がある。パトロール(24時間)要員を5月上旬ごろまでには100人増員し、250人態勢に強化する。
「(15歳以下の人には)申し訳ないと思っているが、事件が起きてからでは遅いので、ご理解頂きたい」
と話している。