【置き去りにされた被災地を歩く】第2回・千葉県柏市
「子どもを守ろう」パパが大奮闘 行政とタッグで「都市型除染」進める

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   東日本大震災で東京電力福島第一原子力発電所が大きく壊れ、放射能が拡散した。被害が及んだのは原発周辺の地域だけでない。関東地方でも局所的に放射線量の高い「ホットスポット」が現れた。

   中でも首都圏のベッドタウン、千葉県柏市は数値が高かった。目に見えない「放射能の脅威」とどう戦うか。小さな子どもを守るため「まずできることから始めよう」と立ちあがった父親たちがいる。

公園や小中学校でも高い放射線量検出

秋山浩保・柏市長も参加したプロジェクトの除染作業(写真提供:つながろう柏!明るい未来プロジェクト)
秋山浩保・柏市長も参加したプロジェクトの除染作業(写真提供:つながろう柏!明るい未来プロジェクト)

   つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」周辺は新築マンションが多く建ち並び、東京大学や千葉大学のキャンパスもある。記者が訪れたのは2012年3月初旬の週末。駅に近い大型ショッピングモールは親子連れでにぎわっていた。

   駅から徒歩約20分で、県立柏の葉公園に着く。市民の憩いの場であり、本来であれば子どもを遊ばせるのにうってつけだ。ところがこの公園には人影が少ない。放射線量が高い場所があるからだ。3月7日には千葉県が除染作業をした。

   柏市は、市内の数多くの場所で線量を計測し、マップ化してウェブサイトで公開している。3月5日に更新された地上1メートル地点の数字を見ると、緑地や調整池を中心に1時間あたり0.4~0.6マイクロシーベルトと比較的高い値を示すところが点在しており、小中学校で同0.3マイクロシーベルトというケースもある。

   国は国際放射線防護委員会(ICRP)が2007年に出した勧告に基づいて、平常時は1年間に受ける放射線量を年間1ミリシーベルト以下に抑える方針を出している。これにより柏市では、1時間あたりの被ばく量の目標値として0.23マイクロシーベルトを掲げる。しかし、仮に前述のような場所に居続けた場合、現時点では目標とする年間被ばく量を超えてしまう計算になる。

   柏市に住む会社員の川田晃大さんは2011年10月、独力で「つながろう柏!明るい未来プロジェクト」を立ち上げた。市内の放射線の計測や除染、放射能問題に関する情報発信を手がけるグループだ。今日では会員およそ80人に拡大し、行政とも連携して活発に活動する。川田さんは市民運動の経験はなかったが、生まれたばかりの子どもをもつ父親として「子どもを守りたい」との一心から動いたのだと話す。

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