東日本大震災の発生から丸1年を迎えた2012年3月11日、野田佳彦首相は首相官邸で記者会見を開き、がれきの広域処理について、法律に基づいて全国の都道府県に受け入れを要請する方針を示した。がれきの受け入れを目指す神奈川県の黒岩祐治知事が、「法的なメッセージをしっかり出してほしい」などと要望していたことを受けた。
災害廃棄物処理特別措置法に基づき、受け入れ基準や処理法を定める
野田首相によると、11年8月に成立した災害廃棄物処理特別措置法に基づいて、被災3県(岩手、宮城、福島)を除く全国の各都道府県に文書でがれき受け入れを正式に要請し、受け入れの基準や処理方法を定める。それ以外にも、がれきを焼却したり、セメントや紙などの製品としてリサイクルが可能な民間企業にも協力を要請する。
野田首相は、がれきを受け入れた自治体に対して財政補助を行う方針をすでに明らかにしていたが、法的根拠に基づく受け入れの基準が明確化されることで、自治体と地元住民との交渉が進展する可能性がある。
会見冒頭、野田首相は
「あの日を忘れないことが最大のご供養。震災の記憶と教訓は、絶対に風化させてはならない」
と述べ、改めて犠牲者に対する哀悼の意を表明した。
また、東京電力の福島第1原子力発電所の炉心溶融(メルトダウン)などをめぐる「情報隠し」が指摘されていることを念頭に、
「徹底的な情報回復を通じて、信頼回復に務める」
「情報開示について十分でないという指摘については、真摯に反省しなければならないと思う」
と、反省の弁も口にした。