スマートフォンの本体価格が下落している。大手量販店ではこれまでありえなかった0円、980円表示まで登場した。
スマートフォンを販売する際の値段設定は複雑で、ショップごとのキャンペーンや指定のオプション追加などで、同じ機種であっても価格の上下幅が出る。しかし、スマホが大量に売れて、開発費や製造コストが下がり、また、一部に商品のダブ付きが出て「投売り」になっているようだ。
売れ残りが増えたため在庫調整が必要になった?
東京新宿にある大手量販店を訪ねてみると、月に780円かかるオプションのアプリを追加することで、従来3万円近くで売っていたスマホの本体が新規、買い替え共に0円、5万円近いものが同じく980円で売っていた。別の量販店では「GALAXY NEXUS」が新規1円、買い替えは9800円だった。
スマホを販売する場合「実質0円」などの表記があるが、それは、通話料の割引分などを指し引いたもので、実際に本体価格自体を安くしているものではないが、これらの量販店では本体価格がこうなっている。
この「GALAXY NEXUS」を販売している量販店の店員に話を聞いてみると、今回の本体価格の値引きを始めたのは3月に入ってからで、機種は半年以上前に発売されたものだそうだ。スマホは最新機種を買う人が多いため、以前のものは「型落ち」となり在庫がダブついてしまう。
「在庫一掃ということで店頭に並べています」
という。ただし、スマホ購入の際に付きものの通話料の値引きは付けていない。
「半年前の新製品であっても、最新機種と比べればスペックが大幅に落ちますので、それを納得の上で購入をお勧めしています」
という説明だった。
「パソコンの低価格化と同じ道を歩く」と専門家
スマホは「価格崩壊」を迎えているのだろうか。NTTドコモ広報は、スマホの本体はオープン価格になっているため、販売するショップによって戦略が異なり全体像は把握していない、としたうえで、「販売開始の頃は高額だったが、現在は購入者の実質負担額は2万円から3万円になっている。フィーチャーフォン(多機能携帯電話)の同4万円から5万円と比較しても身近な存在になっている」と強調する。
スマートフォンのOSの代表格は「iPhone」と「Android」。ライターの福田和宏さんによれば、「iPhone」は1,2年に1回バージョンアップする。一方「Android」は半年に1回ペースで格段に性能を上げているため、ハードも新しくする必要に迫られる。そうなると半年前の新製品は「型落ち」になる。
これまでも「型落ち」をただ同然で手に入れる人もいたが、ブームで大量に製造され、また、機種によっては人気が出ずに売れ残る。こうしたことが本体価格の「投売り」に繋がっているのではないか、と福田さんは予想する。また、スマホブームでメーカーは、開発費、製造費、部品調達費用がかなり下がっているはずであり、それが店頭価格に影響していると見ている。
「新品のパソコンが2万円、3万円代で買えるのと同じように、スマホも同じような道を歩くことになると思います」
と福田さんは予想している。