デジタル放送の受信機に差し込む「B-CASカード」の海賊版がネット上で販売されていることが明らかになり、波紋が広がっている。B-CASカードは、有料放送にかけられた暗号(スクランブル)を契約者が解除するために不可欠だが、海賊版では、全チャンネルが見放題になってしまうからだ。どんなカラクリなのか。
問題とされているのは、「BLACKCAS」(ブラックキャス)と呼ばれるカード。B-CASカードが赤または青なのに対して、ブラックキャスは黒い色をしているのにちなんだようだ。
有料放送の暗号が破られた?
販売が始まったのは2012年に入ってからだとみられ、専用ウェブサイト経由で申し込む。
ウェブサイトによると、価格は現時点では4万9800円もするが、ブラックキャスでは、WOWOWなどのBSとCS110度(スカパー!e2)の全チャンネルが半永久的に見られると宣伝している。これらのチャンネルを全て契約した場合は月額で3万6661円かかることから、2か月以上使った場合は割安になるとの主張だ。
ユーチューブ上では、BSデジタルのチューナーに差し込まれているB-CASカードをブラックキャスに差し込んで、実際に動作させる様子を移した動画が複数公開されている。ブラックキャスの製造者がB-CASの暗号の仕組みを解読した結果、有料放送が「見放題」になってしまっている可能性が高い。
それだけに放送業界に対する影響は大きく、3月2日には、放送局4社が「厳正に対処する」などとする声明を発表したほか、3月6日には、川端達夫総務相が
「これは許し難いことなので、放送コンテンツの保護ということから、我々はしっかりこれを防がなければいけない」
と、対策に乗り出す考えを明らかにしている。