東京都が中部電に電力購入打診 第1ラウンドは「引き分け」スタート

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供給面の不安を理由に断る

   だが、社内には、経済産業省などが旗を振る電力自由化の流れに後ろ向きと受け取られるのも得策でないとの意見もあった。特に枝野幸男経産相は電力の地域独占体制などを見直す意向とされるだけになおさらだ。

   そこで落ち着いたのが、供給面の制約を理由に断ることだった。

   中部電は昨年5月、当時の管直人首相の要請を受けて浜岡原発を停止した。しかし、火力発電所の増設などを急ピッチで進め、昨年末からは定期検査で原発停止が相次いだ関電や九電に対して「応援融通」している。管内の火力発電所がトラブルに見舞われれば一転して供給不足に陥る懸念が高まるのは中部電も同じだ。

   東電が値上げを表明して以降、中部電には東京都以外にも民間企業など約10社から電力購入の打診があったといい、「1企業、1機関ごとの要請には応じていられない」のが実態なのだ。

   猪瀬副知事との会談で「電力の需給バランスが安定したら、都が選択できるような提案ができればと思う」と「大人の対応」を見せた中部電。猪瀬副知事も「今回は無理だが、将来の可能性はあるということを確認した」と述べ、一段落した。これを第1ラウンドと考えれば、「引き分け」というところか。

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