高橋洋一の民主党ウォッチ
橋下改革があぶり出す「公務員の政治活動」 大阪だけじゃない首長と労組ズブズブの関係

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地方公務員の政治活動、規制強化が必要だ

   こうした無法状態がこれまで放置されてきたのは、職員の政治活動が最大の要因だ。中間報告では、地方公務員法36条で禁止されている政治活動が疑われる事象として、市の管理職職員が、「勤務時間中に、選挙対策を打ち合わせるために、市役所の公用メールを発信している事実」や「勤務時間中に、市長の選挙運動のために、市役所の公用メールを用いて、市長と国会議員との面談を調整していた事実」が見つかったとしている。

   大阪市では採用後に入れ墨をして児童を脅していた職員がいたり、勤務中の不適切な喫煙が横行したりしているが、ヤミ専従などの地方公務員の無法ぶりは、決して大阪に特有の問題ではない。全国の多くの自治体において、公務員労組や役所ぐるみの選挙で当選した首長は無数に存在する。程度の差こそあれ、不健全な組織運営の問題が生じている。

   地方公務員労働組合が選挙において強力なマシーンとなり、また、2期目以降は、市役所が組織ぐるみで現職市長を支持する。こうして、組合と組織に支持されて当選した市長は、組織内では部下・使用者である組合との関係で、厳しく対峙できない。市長、市役所幹部、労働組合が、いわば利益共同体化し、組織としてのガバナンスが失われる。すると、ヤミ専従などの問題がおきても、ゆるい対策ばかりで抜本的な解決にはならない。

   地方公務員の政治活動に対する規制の強化が必要だ。地方公務員の政治活動規制は、地方公務員法上、国家公務員よりも緩く定められ、刑事罰はつかず、現業職員は規制対象外とされている。こんな生ぬるい法律を放置していたら、本当の地方分権なんてできない。橋下市長には大阪市の膿をすっきり出し、その活動を全国にひろげてもらいたい。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2005年から総務大臣補佐官、06年からは内閣参事官(総理補佐官補)も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「財投改革の経済学」(東洋経済新報社)、「さらば財務省!」(講談社)など。


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