新エネルギー、「地熱発電」が熱い ただし「埋蔵」の大半は国立公園の中

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日本メーカーが世界の7割のシェア

   地熱発電の技術力も日本の強みだ。2年前、ニュージーランドで世界最大の地熱発電所を完成させた富士電機をはじめ、三菱重工業、東芝を加えた3社で地熱プラントの世界市場で7割のシェアを占める。成長戦略の柱だった原発輸出が厳しくなる中、日本の新たなお家芸の有望分野でもある。

   だが、問題はコスト、特にコストに直結する掘削方法の規制だ。開発を認めるのは国立公園外や公園内の普通地域から斜めに井戸を掘る「傾斜掘削」だけ。地上の景観には影響しないよう、垂直に井戸を掘ったり、地上に発電設備を設置したりするのは認めない方針だ。

   業界関係者によると、井戸を1メートル掘るごとに約20万円、2000メートル級の井戸を掘るには4億~5億円必要。発電機器等を含め発電所の建設には総額数百億円、資源量調査から運転開始まで10年以上かかるのも足かせだ。斜めに掘れば井戸は長くなり、開発コストが跳ね上がる。

   一般に地熱発電の1キロワット時当たりの発電コストは約20円と、石炭火力の2倍以上にもなるとされる。東北や九州などの蒸気量が多い地域では、1キロワット時当たり9.2~18.3円で発電可能との日本地熱開発企業協議会の試算もある。このため、7月からの、再生可能エネルギーで作った電力の買い取り制度で、買い取り価格がどのくらいに設定されるかに関係者は注目。「20円程度にならなければ普及は望めない」(業界関係者)との声が強い。

   経産省は特別区域内で縦に掘れるよう、一段の規制緩和を求め、環境省と対立している。自然保護団体などは規制緩和を批判、温泉関係者の間では「地熱発電が「温泉の量や質に悪影響を与えないか」(東北地方の関係者)と心配する声もある。

   地熱発電の本格開発に向け、ひとまず舵を切ったとはいえ、課題が山積している。住民や関係団体・事業者などの理解を得ながら、十分に情報を公開し、慎重に進める必要がありそうだ。

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