震災で「5人餓死の疑い」の真偽 NHKニュースに疑問の声も

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遺体の解剖はできていない

   NHKの報道では、法医学会が餓死の疑いのある遺体を調べたとも解釈できる。しかし、NHKにコメントした理事の岩瀬博太郎千葉大大学院教授は、J-CASTニュースの取材に対し、こうした遺体の死因調査を学会として行っていないことを明らかにした。

「NHKのニュースは、ちょっと間違っていますね。誤解される報道ですよ。死因についてのデータは持っていませんし、餓死した疑いの認識はまったくありません。それについては、まったく分からないです」

   それは遺体の解剖などがまったくできていないからだと説明する。岩瀬博太郎教授によると、学会としては、そうしたことへの反省があり、もっと早く初動から駆けつけられないかどうか、対応の仕方を検討しているだけだという。

   5人の餓死疑いという報道は、どの程度の根拠があることなのか。

   NHKが挙げた福島県の医師に取材すると、診察中で忙しく、電話では対応していないとのことだった。

   一方、NHKの広報部では、餓死疑いについては、福島県の医師の判断が根拠になっており、放送した通りだとした。解剖をしなくても、医師がそう判断することもあると言う。

   日本法医学会が餓死の疑いのある遺体を調べたと解釈できることについては、「報道では、そうは言っておらず、あくまでも津波被害の現場で見つかった遺体について調べたとしています。よく読んでいただければ分かることで、うちとしては誤解を招く表現とは考えていません」とした。

   もっとも、餓死者がいた可能性がまったくないわけではない。

   NHKが挙げた福島県の医師にJ-CASTニュースが2011年6月に取材したところ、医師は、食べ物や水が与えられず、餓死や衰弱死のような自然死のケースが数人いたことを明かしていた。いずれもミイラのようにやせ細った状態だったという。

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