マラソン選手の「給水」とは? 五輪選考レースで大本命、川内に続き堀端も失敗

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「水だけの取り過ぎ」も怖い

   スポーツドリンクの歴史は米国から始まったといわれる。1960年代にフロリダ大学で研究され、数年後に製品化された。日本では1980年代に入って大手飲料水メーカーが売り出した。今では老若男女だれでもスポーツのとき、散歩のときまで持ち歩いている。

   ただ、市販のドリンクはマラソンのような過酷なスポーツには効果が薄いそうで、そのこともマイ・ドリンクにつながっている。スポーツをする際、注意しなくてはならないのは「水だけの取り過ぎ」。汗とともに塩分が排出されるのに、水分が増えるので低ナトリウム症につながる。

   42.195kmを完走するには、まさしく化学的要素が正しく理解されないと困難、ということが分かる。「水を飲むのは気合いが足りないからだ」としつけられた昔のスポーツ選手には隔世の感があるだろう。

   正月の風物詩である大学生による箱根駅伝でも、脱水症状がよく起こり、選手が棄権している。今年もある失神状態の選手が最後まで走らされ健康管理問題となった。マスコミはそのハプニングをドラマチックに報道するが、実際は命に関わる事態なのである。

   スペースシャトルで尿からスポーツドリンクをつくる実験が行われた。そう、スポーツドリンクは「人類の課題」でもあるのだ。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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