PPSの実態はお寒い限り 安価な電力の安定調達は困難

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電力小売市場の60%近くが自由化されている

   さらに、東電管内ではないが、新潟県三条市は入札を実施した11件のうち10件で東北電力が単独入札で落札し、PPSはイーレックス(日立や東芝が出資)が1件(三條機械スタジアム)落札しただけ。

   こうした事態について、ある大手PPS関係者は「民間の引き合いに可能な限り応えた上で、供給に余裕があれば官公庁の入札に参加するのが基本スタンス」と打ち明ける。ただし、「世間に注目される案件は『広告料込み』で取りに(落札しに)行く」(別の大手PPS幹部)。世田谷区などは、その一例と言えそうだ。

   総合マーケティング会社、富士経済が2012年2月にまとめた調査報告書「電力・ガス・エネルギーサービス市場戦略総調査2012」によると、現在、電力小売市場の60%近くが自由化され、PPSの2010年度の販売電力量は199.6億kWh(前年度比30%増)と急拡大(シェアは電力需要全体の2%止まり)。

   しかし原発事故後、安価な電力の安定調達は難しくなり、「PPSは新規顧客の獲得から既存顧客への安定供給へ軸足をシフトさせている」。このため、2011年度のPPSの電力販売量は200.6億kWhと微増にとどまると見る。需給の逼迫は長期化する見通しで、PPSのトレンドは「攻め」から「守り」へと変化し、PPSの電力販売量は2015年度でも214.5億kWhにとどまると分析している。

   一部自治体の華々しい電力入札の報道の陰で、PPSの実態はお寒い限り。国民は、競争促進を怠ってきたエネルギー行政のツケ(東電の値上げ)を払い続けることになりそうだ。

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