「基本的人権を侵害」との批判も出ていた大阪市幹部職員の業務用メール調査の風向きが一転した。
職員らが、勤務時間中に大阪市長選絡みの活動をしていた「不正」が見つかったと市の第3者調査チームが発表したのだ。調査は橋下徹大阪市長の肝いりで始まっていた。
勤務時間中に「市長選調整メール」
調査チームは2012年3月1日、橋下市長に調査の中間報告書を出した。
調査は、幹部150人を対象に行われた。本人らの事前了承を得ていなかったため、弁護士会などから「基本的人権の侵害」などと厳しい指摘が出ていた。
ところが、1日の中間報告会見では、2011年秋の大阪市長選で、市幹部が勤務時間中に業務用庁内メールを使って選挙対策関連の連絡をしていたと明らかにされた。
当時現職だった平松邦夫前市長と国会議員との選挙関連面談を調整していたという。ほかにも、市長選の打ち合わせメールを部下に送っていた例もあった。
調査チームは、大阪市の労使関係や服務規律を調べており、メール調査はその一環だ。聞き取り調査でも、市長選で平松氏の街頭演説の日程について、「総務的な事務連絡」として口頭で市職員に伝えられていたと話す管理職もいたとしている。いわゆる「組織ぐるみ選挙」の実態が垣間見える形だ。
採用「口利き」の疑いも
ほかにも、採用の際の「口利き」をうかがわせる資料も見つかった。多くの履歴書に、消しゴムで消した市議や市幹部らの名前の跡があったのだ。市議らが「口利き」に関与した疑いが浮上している。
「人権侵害」「やり過ぎ」批判から一転して、メール調査の「有効性」「必要性」に注目が集まる形となった。
ネットのツイッターや2ちゃんねるをみると、
「プライバシー侵害?はあ?(略)橋下さん、残らず駆除しちゃってください」「メール調査の効果大!全職員を対象に行うべき!」
といった声が多く並んでいた。中には、個人情報保護の観点から調査は「大間違い」とするものもあった。
今後、メール調査への「人権侵害」批判は、かき消されてしまうのだろうか。調査チームでは、3月末には調査結果をまとめる考えだ。