「現実的な案」で早期結論へ
コメ先物の不発は、不動産の賃貸収入が収入の大半を占める関西商取には相対的に打撃は小さいが、東穀取のショックは計り知れない。赤字を垂れ流し、資産を食いつぶす体質からの脱却のめどが立たなくなってしまったからだ。
東穀取は東証の少し北に位置した伝統ある本社の土地をマンションデベロッパーに売り払い、昨年賃貸ビルに移転。もはや資産も細っている。株主である商品先物取引会社の中には「資産のあるうちに解散を」との声まで出始めた。
このため東穀取は2月6日に渡辺社長の私的諮問機関「組織・市場問題検討委員会」を発足させ、商品先物取引会社や有識者から意見聴取を始めた。渡辺社長は「いつまでも議論しているわけにはいかない」と早期の結論を目指す方針だ。
一方、政府は金融市場の監督官庁が金融庁、農林水産省、経済産業省に分かれる現状を原則として金融庁に一元化し「総合取引所」を実現可能にする法案を今国会に提出する。これを受けて政府内では、例外的にコメについて農水省の監督権限を維持して関西商取に一本化し、その他の東穀取の取引は東証、大証が2013年に統合してできる「日本取引所グループ」に移して東穀取を解散する案が検討されており、商品先物業界でも「それが最も現実的な案」との見方が多い。