寒波の襲来とともに猛威をふるい、過去10年で患者数が最多といわれるインフルエンザ。2012年2月13日~19日の全国のインフルエンザ患者数は推計175万人(国立感染症研究所調べ)に達する。
春の足音が近づいてきが、まだまだ油断は禁物だ。そうした中で、最近は手軽な「予防策」として「口腔ケア」が注目され、「舌磨き」をする人も増えているそうだ。
舌磨きで口腔内の細菌を減らす
3月になると、流行も落ち着いてくるとはいえ、「インフルエンザはピークから減少はしているが、まだ高いレベルにある」と、国立感染症研究所は注意を呼びかけている。
同研究所の調査では、2月13~19日に定点医療機関を受診した患者は1医療機関あたり35.44人。ピーク時(42.62人)から2週続きの減少で「峠を越えた」ようにも思えるが、都道府県別でみると、大分県では1医療機関あたり52.26人、埼玉県が50.40人、秋田県48.24人となお多く、全国の保健所地域で警報レベルを超えているのは425か所(76.7%を占める)もある。
インフルエンザの予防で効果的とされるのはワクチン接種だ。一般的に接種から約2週間後に効果を発揮するといわれる。誰でも手軽にできるのが、うがいと手洗い。それに加えて、最近注目されているのが「口腔ケア」だ。
簡単に言えば、歯や口の中を清潔にしておくことだが、中でもふだんは口臭予防などのために行われる「歯磨き」や「舌磨き」がインフルエンザ予防にも役立つという。
鶴見大学歯学部の花田信弘教授は「口の中には日和見菌がいて、それがウイルスを増殖させたり、感染に関与したりするとの研究報告があります。日和見菌がつきやすい歯や舌の表面をきれいにしておくことがインフルエンザの重症化の予防になるといえます」と説明する。
口腔ケアグッズの多くは、舌の表面をなぞり「舌苔」をとるための専用クリーナーや舌ブラシや、クリーナーにつけて使う歯磨き粉や歯垢や舌苔の原因となる口内細菌に働きかける成分を配合した洗口薬があって、歯垢や舌苔の付着を防ぐ。どれもふだんは口臭防止や歯周病の予防を目的にしたものだが、それで十分だという。
要は、口の中の細菌を少ない状態を保つことが、インフルエンザ予防につながるということらしい。
市販のタブレットでも予防できる
さらには、歯磨きや舌磨きなども面倒だという人に、花田教授は「口腔ケアのタブレットをなめるのも一つの方法です」と話す。
口臭を消すために舌磨きをするように、フレンテの「クリッシュ」やライオンの歯科用オーラルヘルスタブレット「LS1」のような口臭予防のタブレットでもいいらしい。
花田教授が「口臭のある人は(インフルエンザの)危険なサインと考えてもいい」というほど、口腔ケアは大切なようだ。
最近は舌苔の除去に着目したタブレット、グリコの「BREO」も発売。口臭をマスキングしたり、舌苔を酵素で分解したりする機能をもっている。